ニッケイ新聞 2010年10月21日付け
大型小売店の分割払い長期化が好評で、今年のクリスマス(ナタール)商戦まではこの傾向が続きそうだと20日付エスタード紙が報じた。小売店によっては白物家電で無利息30回払いという例もあり、10%超の売り上げ増が期待されるクリスマス商戦も長期ローンが後押ししそうだ。
自社カードなら無利息で分割払い長期化の一例はカレフール。国内創業35周年記念の9月に初めて導入した、冷蔵庫やフォゴンなどの白物家電は30回、テレビやビデオは24回、コンピューターなどの情報処理機器は18回という長期ローンが好評だったため、年末まで延長する。
10月が創業記念月のウォールマートも、コンピューターや冷蔵庫などの商品で利息無しの12回払いを始めた。同社では、電商販売(インターネットでの購入)でも無利息での12回分割を認めている。
その他にも、エストラが電化製品を自社カードで18回払い、ポント・フリオが指定商品の18回払いなどを認可。カーザス・バイアはやや短いが、それでも自社カードで5回、一般のカードで10回までの無利息分割を認めている。
ローン長期化は、雇用の拡大や所得の向上、経済や価格の安定化などが原因で、9月現在のローンは、一般商品で平均16回、最長40回、自動車では平均44回、最長80回で組まれているとの報告も出ている。
ローン長期化が年内一杯続くのはクリスマス商戦での活用が期待されるからだが、14日付エスタード紙などによると、12日の子供の日を前にした商戦の売り上げが前年同期比11~12%増となった事から、クリスマス商戦の売り上げ予想は7~8%から10%超に上方修正されている。
13カ月給支給後のクリスマス商戦は商業界が最も期待するもので、母の日の10・3%、恋人の日の6・7%、父の日の10・7%を下回る事はないとの見ている。クリスマス商戦が売り上げの半分を占める第4四半期は、前年同期比14~15%の売り上げ増との予想も出ているようだ。
ただ、月々少額の負担でまとまった額の買物が出来ると期待される分割払いの怖さは、期日通りに支払えず、債務が拡大する可能性がある事。
20日付エスタード紙には一般消費者が抱える債務が10月にやや減少との記事もあるが、銀行業務集中サービス会社によると、クレジットカードやローン利用者の9月中の滞納や不払いは、前年同月比で15・3%増えた。前月比1・6%増の数字は9月としては2000年の集計開始以降最大で、債務不履行増加は5カ月続いている。
現金を持ち歩かずに済み分割払いも可能なクレジットカードの利用は急速に拡大中だが、「入るを知って出るを制す」は健全経済の基本原則だ。