ニッケイ新聞 2010年10月21日付け
北東伯が最も児童売春が多発する危険地帯だと警鐘を鳴らす報道が、グローボTVやエスタード紙などで立て続けにでている。トラック運転手らの協力により行われた連邦道路警察の調査によれば、全伯1820カ所で児童売春が行われていることが確認された。うち545カ所が北東伯に集中し、南部399カ所、南東伯が371カ所、中西伯281カ所、北部が224カ所の順で、大半は大都市近郊の国道に面した場所にある。
同警察のモイゼス・ヂオニジオ・ダ・シルバ検査官によれば、かつては農村部の街灯の少ない暗い場所に多いと思われていた売春宿が、今回の調査ではむしろ都市部に集中(67%)していることが分かった。
共通点が多い順に上げると、飲酒できる場所(81・9%)、街灯の明るい場所(79・5%)、トラックが出入りする場所(76・12%)、厚生委員がいない場所(73・6%)、大人の売春宿(69・3%)、衛生委員がいない場所(65・5%)という特徴がある。
「子供たちは暗いところが怖いし、顧客も〃商品〃の品定めに明るいのを好むから」と同検査官は説明する。
300人のトラック運転手がそれぞれ2カ所ずつ児童売春の宿を指摘して調査に協力した。同検査官は「彼らは我々に協力的で最も信頼できる情報提供者だ」という。
道路別にみると、最も管理が脆弱な国道116号、101号が、児童売春の最も多い場所だと指摘されている。同警察のアレシャンドレ・カスチリョ広報官も、「人口が多い都市ほど貧富の差が大きく、交通の出入りが激しいので、売春が広まりやすい」と分析する。
「例えば、豊かな北東伯の海岸部から内陸部の半砂漠のセルトン地帯では、社会格差は明確だ。同じことはメルコスールの国々に通じる国道277号にもいえる」と指摘する。
10月7日付けエスタード紙によれば、売春の場所はトラックの運転席、潰れたガソリンスタンド、借り部屋などで、16から17歳なら30~50レアル、15歳なら5レアルというケースまであったという。
グローボTVの報道によれば、ペルナンブッコ州サルゲイロ市のある13歳の少女は、1年前から1回30レアルで売春を始め、友達も次々に誘っているという。「誰でも簡単にこの道に入れるけど、出るのは難しいわ」と認めた。売春と同時に、ドラックにも手を染めるものが多い傾向が顕著だ。
児童福祉団体チャイルドフット・ブラジルのアナ・マリア・ドゥモンド会長は、「その時だけ取締りを厳しくしても、すぐに別の場所で再開するからいたちごっこになる。国レベルで統合的な対処をとる必要がある」と提言している。