ニッケイ新聞 2010年10月21日付け
生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が18日から名古屋で開催されているが、参加193カ国中、要の存在のブラジルも、多様性保護は不十分と20日付エスタード紙が報じた。
生物の多様性は他の国と比べられないほど豊かで、経済的にも成長を続けるブラジルは、先進国とそれ以外の国々を仲介できる立場にいるという点でも、中心的な役割を担っているという。
ただ、多様性保護のために設けられた2010年までの国内達成目標51件中、達成できたのは2件のみ。それでも、参加国中最も高い目標達成というから、多様性保護の難しさが伺われる。
ブラジルが達成と報告されたのは、絶滅の危機にある生物のリスト作成と、生態系が脅かされる可能性のある場所を25%減らす努力の2点だ。
具体的には生態系保護区域の指定拡大などが行われたが、法定アマゾンでは目標の30%に近い27%を保護区に指定できたものの、その他の地域の10%を保護区に指定という目標は、カアチンガ7・3%、セラード8・4%、大西洋岸森林地帯8・9%以外は、パンパやパンタナルなど、3・1~4・8%の達成率に終った。
森林伐採削減について法定アマゾンでの対策は強調されてもその他地域のそれが遅れるのと同じ傾向だが、保護区制定以外に採るべき対策については、予算確保さえできていないのが現状だ。
20日付サイト記事によると、世界中の生物の多様性破壊による損失は年2~4・5兆ドル。ブラジルの多様性保護には年10億レアルが必要だというが、2000年以降、環境保護区は80%増えたのに、環境や生物の多様性保護のための予算は連邦予算総額の1%程度でほとんど不変だ。