ニッケイ新聞 2010年10月22日付け
「今日は5カ所を回りました。21日までに26都市を回り、私への支援にお礼を言い、同時にセーラ候補への支持を訴えたいと思っています」。リベイラ沿岸日系団体連合会(FENIVAR)と聖南西文化体育連盟(UCES、共に山村敏明会長)が15日に合同で行った統一選挙の祝賀激励会で、今回落選した飯星ワルテル連邦下議(DEM)は顔を上げてそう語り、会場のレジストロ文協会館に集まった約200人の間を忙しそうに飛び回った。日系団体が主催する最初の祝賀会となった当日は当落あわせて5人も集まり、14市から集まった日系団体代表と話し込んでいた。
山村会長は開会のあいさつで「リベイラ沿岸と聖南西の関係緊密化、活性化には政治家からの協力は不可欠。我々は当選者を祝うだけでなく、落選者を激励し、有権者に一言いう場を作ることが重要だと考えている」と主旨を説明した。
サンパウロ州議選で惜しくも落選した小林ビットル氏は「5万票余の信頼をもらったことに感謝したい。政界に代表を送ることはコムニダーデにとっても役に立つことであり、インスチツゥート・パウロ・コバヤシを通して支援を続ける」と力強く語った。
25年前にパリケラ・アスー市の公立病院で外科医として勤務していた経験があり、今回サンパウロ州議に当選した羽藤ジョージサンパウロ市議は、「未登録拳銃や飲酒運転の取締りをもっと厳しくする。小さな犯罪を許さないことで、大きな犯罪を予防するのが大事」と訴えた。
飯星下議は「2013年はレジストロ入植100周年。議員でなくともスポーツや文化のプロジェクトの準備を協力していく。それにまだ繰り上げ当選の可能性も残されている。最後まで希望は捨てない」と語った。
下議に当選した安部順二氏は「今最も改革が必要なのは政治。ここにいる我々はみなフィッシャ・リンパだ。真面目、勤勉さなどがもっと政界にあれば、ブラジルは間違いなく良くなる」と力強く演説した。
日系女性で初めて下議に当選した太田慶子さんは「現在の刑法ではどんな長期間の禁固刑を言い渡された犯罪者でも、最長30年間の刑期しか過ごさない。しかも刑期の5分の2を過ごせば仮釈放されることがある。これではすぐに刑務所から出てきてしまう。最長期間を100年に延ばすための改正を働きかける」と語った。
レジストロ文協の金子国栄会長の音頭で全員が高々とグラスを上げて乾杯し、婦人部の心を込めた料理に舌鼓をうった。
地元の遠藤寅重さん(74、福島県)は「安部さんぐらい演説に気迫がないとダメ。首都の大舞台でも迫力を見せてくれれば、我々も肩身が広い」と満足げに語った。渡伯85年の山根善信(89、兵庫県)は「名前は知っていても、今日のように実際に話を聞く機会は少ない」と喜んだ。安部氏に投票したという非日系のアパレシーダ・デロウレス・エストッキさん(70)は「前回来た時に初めて彼の演説を聞いてしびれた」とのべた。
サンパウロ市からバスで駆けつけたグアルーリョス文化体育連合の椋野フェルナンド会長(63、二世)も「このような機会を重ねることで政治家と日系団体の距離が近くなる」と笑みを浮かべ、インスチツゥート・イカロの小川彰夫代表も「日系社会の将来を考えれば、日系政治家と日系団体との関係は大事だ」と強調した。