サンパウロ州SUSで薬不足=配給滞るのは高額な7品=患者に不安、ストレス募る
ニッケイ新聞 2010年10月26日付け
統一医療保健システム(SUS)では全国で90万人の患者が無料で医薬品を受給しているが、その約半数が集中するサンパウロ州を中心に、ここ数週間、医薬品の不足が報告されている。少なくとも7品で配給の遅れが出ており、2カ月以上も薬を支給されていない患者もいると、25日付エスタード紙が報じた。
不足しているのは、関節リウマチの治療薬アダリムマブ、臓器移植や骨髄移植時の拒絶反応予防用のタクロリムス、シロリムス、ミコフェノレート・モフェチル、多発性硬化症(MS)の治療薬であるグラチラマー酢酸塩とインターフェロン・ベータ(ベタフェロン)、ホルモン依存性の前立腺がんや閉経前乳がんの治療に使用されるリュープロレリンなど。
保健センターには、こういった高額な医薬品を入手できない患者らが溢れる。2年間ベタフェロンを服用するエリーザ・スシュレルさん(29)は、21日に最後の薬を服用。薬が手元にない状況は初めてで、「大きなストレスも負担になる」と不安を抱える。
マリア・ジョゼ・ポンテスさんの娘アリセちゃん(9)が服用するリュープロレリンは、1カ月分で8千レアルかかる。2カ月間薬を受け取れない状況が続いた後、今月21日にようやく支給されたという。
保健省は1年前より州や市町村と規定を結び、43品目の医薬品について購入を一括するシステムを取っている。これにより購入額は2億2千万レアル節約され、医薬品によっては購買量が2倍に増やされるなど、その充実が期待されていたほか、新たな医薬品の導入、低価格実現のための国内生産促進も考えられていた。
今回のサンパウロ州での混乱について、保健省製薬部門のジョゼ・ミゲル・ド・ナッシメント・ジュニオル担当は、サンパウロ州の薬剤配布を担当する財団職員がここ2カ月間ストライキを行っていたため、15日間にわたり配送した医薬品が届いていなかったと指摘。一方、サンパウロ州保健局担当者は、同省がここ3カ月間の患者数増加を把握していなかったのも状況悪化の原因という。
サンパウロ州保健局では、「アダリムマブ、タクロリムス、シロリムス、グラチラマー酢酸塩、ベタフェロンは同省の管理下にあるが、財団ストも終了しており、薬の配給システムは間もなく正常に戻る」と断言。リュープロレリンの流通はANVISA(国家衛生監督庁)より一時指し止められたが、先月解禁され、正常化が図られている。