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バス労組の理事銃殺=内部の汚職事件が引金か=暗殺計画の可能性高まる

ニッケイ新聞 2010年10月27日付け

 サンパウロ市バス運転手・料金徴収係(コブラドール)労働組合のセルジオ・アウグスト・ラモス理事が、25日午前5時半頃、サンパウロ市南部Mボイ・ミリン街道にあるイタイン・パウロスタ・バス運行会社前でバイクに乗った二人組に銃撃されて死亡した。事件の背景には、同組合内の汚職事件が絡んでいるようだ。26日付伯字紙が報じた。
 セルジオ氏は労働者党(PT)の大統領候補ジウマ・ロウセフ氏を支援するため、勤務先の会社前でブラジル労働者センターと同組合のビラを配布していたところだった。目撃者の証言によれば、ヘルメットを被った二人組は同氏の名前を呼んだ後、5発を浴びせ、イタペセリカ・ダ・セーラ街道の方へ逃走。黄色のバイクに乗り、ナンバープレートは逆さに取り付けられていた。
 同氏が所属する労働組合では、労働者の健康プランのために市が出した補助金搾取の疑惑があり、2年前より捜査が進められていた。この組合内汚職を州検察局に告発した人物の一人がセルジオ氏で、それからというもの、同組合のホソジ・イサオ現会長関係者から絶えず殺害を予告する脅迫を受けていたという。
 セルジオ氏はホソジ会長や他の理事らの汚職を告発するビデオも作製しており、その中では、万が一自身の身に何かあった場合には、ホソジ会長まで責任を追及するようにと訴える。セルジオ氏の妻も、脅迫を受け取ったセルジオ氏が常にホソジ会長の名前を挙げていたと証言。セルジオ氏から脅迫の被害届を受け、事件を担当していたロベルト・ポルト検事は、同組合の汚職を告発して殺害された被害者は2人目としている。
 2003年にはホソジ会長、当時の会長、現在の事務局長など幹部17人が企業家と共謀し、当時のマルタ・スプリシー政権に圧力をかけてバス運賃の値上げを図ったことで逮捕されたが、容疑を否定していた。
 今回の殺害事件に関し、同組合コーディネーターは「ホソジ会長とセルジオ氏が決裂していたのは事実だが、殺害を企てる根拠はない」とコメント。渦中のホソジ会長は、事故によるケガで療養中だったという。
 セルジオ氏殺害が発覚した翌日の26日午前には、バス運行会社2社の運転手と料金徴収係がストライキを起こした。事件のあったMボイ・ミリン街道のバス停には長時間公共バスが停車せず、通りにはバスを待つ人が溢れるなど、大きな混乱を招いたようだ。