ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | アマゾンの原生林消滅?=異常乾燥でサバンナ化警告

アマゾンの原生林消滅?=異常乾燥でサバンナ化警告

ニッケイ新聞 2010年11月4日付け

 法定アマゾンでの異常乾燥が続いているが、国立宇宙調査研究院のカルロス・ノブリ氏と米国コロンビアのサンタンデル工業大学ルイス・フェルナンド・サラザール教授がこのような異常乾燥が定着すれば、アマゾンの原生林はサバンナと化すると警告と3日付フォーリャ紙が報じた。
 アマゾン地域での異常乾燥は2005年にも起きているが、今年の乾燥はこの時を上回り、ひび割れた台地や船の航行不能となった川底を目の当たりにした地域住民からも「これほどひどい乾燥状態は記憶にない」という声が出るほどだ。
 近年のアマゾンでの異常乾燥の中で特記されるのは、1963年、1998年、2005年、2010年の4回だが、旱魃発生の間隔が縮まっている事は一目瞭然。
 ノブリ氏らによると、アマゾンでの旱魃の原因は森林伐採と地球温暖化で、今回のような異常乾燥や旱魃が定着すれば、パラー州南部やトカンチンス、マット・グロッソ州の原生林は姿を消し、停電頻発と伝えられるマナウス市のあるアマゾナス州の降水量も更に減少するという。
 同地域での二酸化炭素の影響については更に詳細な研究が必要だが、アマゾンの森が光合成で吸収する二酸化炭素量を25%と仮定した場合、同地域の平均気温は4度上昇し、乾季は4カ月に延びるという。この場合、アマゾン南東部の降水量は35%、北東部の降水量は40%減少すると見込まれている。
 3日付エスタード紙によれば、1990~2008年のサンパウロ州の化石燃料(ガソリンやジーゼル)燃焼による温室効果ガス発生は39%増加。アマゾンの森林伐採が減少しても、人間の生産活動や日常活動に伴う温室効果ガス排出削減が困難な事を再確認させる報道だ。