ニッケイ新聞 2010年11月4日付け
ブラジルのお盆にあたる「死者の日」(フィナードス)の2日とその前日、第56回レジストロ灯篭流しが同市内を流れるリベイラ川のほとり、ベイラ・リオ公園で開催された。日蓮宗恵明寺、レジストロ日伯文化協会、同市役所、同ベースボールクラブの共催。1日は太鼓ショー、盆踊りなどの披露が行われ、約1万人ほどが来場。2日は同河川での水難犠牲者、先没者慰霊、世界平和祈願の法要が5つの宗教団体合同で行われた後、その思いを託した2200基の灯篭が流され、赤、青、黄色と水面を照らす幻想的な光景に、集まった2万人ほどの来場者が見入った。
天候に恵まれた2日、会場では、午前中に同公園内に特設された土俵で「第5回奉納相撲」が開催され、サンパウロ州各地から120人が参加。来場者が土俵を取り囲み、熱戦を繰り返す力士らの姿に大きな歓声を送った。
午後6時ごろ、数匹の鯉のぼり、紅白模様に彩られた中型船がリベイラ川上流方向に現れ、船上で太鼓の音が響き、恵明寺の尼僧らによって「清め式」が行われた。
尼僧らが上陸、リベイラ川岸の水難犠牲者慰霊碑の前に設けられた祭壇で、世界祈願並びに先没者慰霊法要が行なわた。同寺、レジストロ西本願寺、世界救世教、生長の家、立正佼成会の合同による同法要にはサンドラ・ケネディ・ビアナ同市市長、大田慶子新連邦下院議員、木多喜八郎文協会長、山村敏明リベイラ沿岸日系団体連合会(FENIVAR)会長、小川彰夫イカロ代表らが参列した。
リベイラ川では、毎年のように水辺で遊ぶ人たちの水難事故が起こり、その霊を供養するため1955年に7基の灯篭を流したのが始まり。現在では法要も行い、先祖の霊も共に慰め、世界の平和を祈る式になった。
夕暮れが迫り、「南無妙法蓮華経」が唱えられる中、参列した100人ほどが焼香。導師の妙豊尼が「あの世に戻られた方々を懐かしみ感謝する気持ちは、しっかりと伝わったと思う」と述べ、金子会長は「現在は世界に不幸なことがはびこっている。宗派を超えたこの灯篭流しで、先祖を思い、共に平和を祈りましょう」と訴えた。その他、各宗の代表者があいさつを行った。
法要が終了した頃、ポツポツと遠くに淡い光が見え始めた。光はしだいに大きくなり、連なって川を流れる灯篭が水面を鮮やかに染め、川岸はそれを眺める来場者らでびっしりと埋まった。
「旧姓の家の名を書きました」と話すのは鶴田マリさん(58、二世)。サントスから毎年参加している。「昔から親に先祖の大切さを教えられた。お彼岸、お盆で先祖を思うことで厄を遠ざけてくれます」と灯篭に願いをかけた。
食事時には、売店前は人だかり、行列でごった返し、FENIVAR、同文協、野球クラブが準備した食事はほぼ完売。会場中央では盆踊り、マツリダンス等が行われ、午後10時半ごろ対岸から大輪の花火が打ち上がり、炸裂音と喚声が夜空にこだました。