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ルーラとジウマ共同会見=人事絡みの報道気にかけ=「新政権は新大統領の色で」=最賃や為替問題にも言及

ニッケイ新聞 2010年11月5日付け

 ルーラ大統領とジウマ次期大統領が3日、大統領官邸で選挙後初の共同記者会見を行い、次期政権に関する権限は全面的にジウマ氏に属すと明言したと4日付伯字紙が報じた。休息をとるための旅支度も終えたジウマ氏を呼び出した大統領は、開口一番、次期政権人事に関する報道が気になっていたと語ったという。

 選挙戦後も慌しく、来週のG20サミット出席も決まっているジウマ氏を3日朝呼び出したルーラ大統領は、新政権の閣僚人事に関する報道が気になり、予定を変えてジウマ氏と会う事にしたと説明。記者会見では、次期政権に関する事は全てジウマ氏の采配下と明言後はジウマ氏に後を任せて退席。ジウマ氏の指導力に対する不安払拭などを図ったようだ。
 1日付フォーリャ紙がルーラ大統領による次期政権の閣僚人事示唆を報じ、2、3日付伯字紙でも入閣の可能性のある人物やポスト名を書き連ねた記事や、連立与党の民主運動党が気色ばんだとの報道などが続いた事を気にしていたという。
 次期政権の閣僚人事に関するの報道を気にしていたというのは、新聞は読まないとの前言と矛盾しているが、今回の記者会見での大統領発言は、決選投票前に「何ものも大統領と私を引き離す事は出来ない」とし、当選後も「大統領を訪ねて助言を乞う」と発言したジウマ氏が、自分自身で物事を決めていくべき事とその力を持っている事を明確にする意図をもっていたと思われる。
 記者団を前に、次期政権は「ジウマカラー」で「ジウマに似た」ものであるべきとしたルーラ大統領は、前任者は後任者に潔くその任務を託すべき事を自らの身をもって示すと明言。野党に対しては、政権移譲後の国会では攻撃的にならないようにと要請も出した。
 現大統領と次期大統領は、ドル安などの通貨戦争の責任は米・中両国にあり、韓国サミットでも為替を含めた経済問題について論じると発言。
 来年度の最低賃金については、2009年がゼロ成長であったため、従来の方法ではインフレ調整のみとなるが、今年が7・5%超の成長と見込まれる事で2012年に行われる調整分の前倒しを検討。労組などとの交渉次第だが、現時点で11年540レアル、12年610レアルの線が出ているようだ。
 小切手税については、同税廃止は野党側が反対したせいとするルーラ大統領に対し、個人的には新たな課税に反対としつつ、復活を求める州知事達との交渉の余地を残すとしたジウマ氏。イランで石打刑に定められた女性の件でも石打刑は野蛮と明言するなど、現、次期両大統領の発言には微妙な差があるようだ。
 なお、来週はルーラ大統領と共にモザンビークを訪問後、韓国でのG20サミット出席と伝えられたジウマ氏の旅行日程は、組閣のための会合を8日に行ってからサミットに直行と変更された。