古典文学に人種差別?=モンテイロ・ロバットで論議=教材としての適性に疑問の声
ニッケイ新聞 2010年11月6日付け
初等教育の教材として配布されていたブラジル古典文学の巨匠、モンテイロ・ロバットの作品「小さなペドロの獲物(Cacadas de Pedrinho)」に人種差別的な表現があるとして、教育界では議論が巻き起こり、教材としての使用は適切でないと指摘する専門家の意見が、官報でも公表された。10月29日から今月5日の伯字紙で取り上げられた。
1993年に出版された同書は、教育省により初等教育の教材として配布されているもの。ピカパウ・アマレロの農園仲間がヒョウを追い求める冒険ものの児童文学だ。問題にされたのは、物語に登場する黒人のナスタシアおばさんが「くろんぼ(Negra)」と呼称されている点や、鷹、猿などの動物に対する差別的な表現がある点。「黒人やアフリカ文化への偏見が表れ、人種差別を促している」と指摘が出る。
こういった意見は大統領府の人種平等促進局より提出され、国家教育審議会(CNE)の基礎教育評議会では満場一致で賛同されている。教材のリストから除外すること、又は同時代の状況説明の注釈を設けることが提案された。
これを受けたフェルナンド・ハダド教育相は、「個人的には特に人種差別は見られない」との見解を発表。配布リストから外す提案には賛同しない姿勢を示している。今後30日間で、提出された報告書を再度検討するようCNEに求める意向だ。また、ハダド教育相はこの一件に関して、同作品の使用を主張する声も多く届いたことに言及。出版の際に注訳を設けるかどうかが、今後の焦点となる。
人種差別の訴えに反対する専門家は、古典文学における偏見をすべて規制することは現実的ではないとする。そのほか、エスタード紙の論説では、ナスタシアおばさんのキャラクターは愛されるべきものであり、自分はむしろ、人種の違いを超え、個性に注目した肯定的な見方を身に付けたと主張している。
今回の論議では、人種差別ともとられる記述のある図書を除外するかどうかだけではなく、教材を使う教師たちに人種の差やその歴史的意義について正しく教える能力があるか否かも懸念されているようだ。