ニッケイ新聞 2010年11月9日付け
09年からは入試として正式に採用する大学も増えたEnem(国家高等教育試験)が6、7日に全国1万6千会場で行われたが、今年の試験では試験問題の重複や欠落、解答用紙の印刷ミスなどで混乱が発生し、再試験となる可能性もあると7、8日付伯字紙が報じた。
連邦大学の新入生8万3千人の選抜や私立大学生への国の奨学金受給者選抜、高等学校の教育評価の意味も持つ同試験の申込みは460万人。試験初日は340万人が受験したが、解答用紙の印刷ミスによる混乱が発生。黄色い表紙の問題を受取った約2万人は、質問の重複や欠落という問題にも巻き込まれた。
解答用紙の印刷ミスの方は、人文科学と自然科学の順で組まれた問題に対し、自然科学、人文科学の順のタイトルがついた解答用紙が配られたもので、試験官には問題の順番に即して回答させるよう指示してあったという説明とは裏腹に、試験開始から数時間後に説明されたとか、タイトル通りに回答するよう指示された後に撤回され、正しい解答を記入できなかったという受験生も出た。
質問の重複や欠落の方は、カンニング防止のために質問の順序を入れ替え、黄色、青、ピンク、白の4色の表紙で識別するはずなのに、黄色の試験に白の試験問題が挿入されたために起きた。
また、直前に、従来からの電子機器に加え、時計や鉛筆、消しゴムなどの使用も禁止と通達が出ていた同試験では、数学や小論文で計算用スペースなどが不足し、机を使う受験生も出るなど、配慮不足は否めない。
入試の意味も持つ連邦大学枠が拡大した昨年のEnemは、実施直前の10月に試験問題漏洩が発覚したため、11月予定の試験をキャンセルして12月に実施。私立大学入試と重なったり複数の大学が入試の一部としての使用を中止したりしたため、欠席率は史上最高だった上、発表された回答にミスがあり、国立教育研究院(Inep)院長辞任にも発展した。
更に、今年1月には受験登録の遅滞やミス、2月には不合格者を合格者として発表、8月には07~09年受験者の個人情報漏洩などの問題も続き、5月の試験は中止。今回の試験は、年に1度のチャンスだった。
検察庁やブラジル弁護士会は、解答用紙の印刷ミスは試験無効に値すると主張するが、教育省は7日、受験生からの苦情は10~16日にサイトで受付け、事例毎に扱うと発表。黄色い表紙の問題用紙は欠席者の問題と交換したりしたため、再試験となる受験生は2千人程度と見ている。
会場管理や指導のあり方が一貫性に欠いていた事は、一部会場で鉛筆などの使用を許可したことからも明らかだが、携帯電話で受験問題を外部に流した人物が出、教育省が捜査を依頼する様な事態も起きたという。