ニッケイ新聞 2010年11月10日付け
【沖縄タイムス】西原町小那覇の沖合で、石油タンカーが桟橋に接触し重油が流出した問題で、中城海上保安部は2日、業務上過失往来妨害の疑いで、同町小那覇の南西石油と金武中城港の沖合に停泊中の同タンカーを家宅捜索し、安全対策に関するマニュアルなど書類計33点を押収した。
同保安部などによると、タンカーに乗船し着桟を指揮するバースマスターとして業務委託契約をしている男性(64)=同町=が、タンカーを操船する際、船首と船尾部に配置したタグボートへの無線による指示で業務上の注意義務を怠たり、桟橋に接触させた業務上過失往来妨害の疑いがある。男性は「自分のミス」と容疑を認めているという。
一方、南西石油は同日会見を開き、川上オズワルド代表取締役社長が「関係者に多大なご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げます」と謝罪した。
知念漁協と南城市への連絡が遅れたことに対しては「担当者が同漁協へ連絡し忘れた」「緊急連絡網に同市の連絡先が入っていなかった」などと陳謝。環境影響などの被害に対しては、専門の調査グループを設け、補償も検討するとした。
今後は緊急連絡網など事故の対策マニュアルを改善し、各関係機関と訓練を実施するなど連携強化を図る。油の回収作業は引き続き行い、消波ブロックや岩場に付着した油の回収に専門チームと機材を投入していくと話した。(編集部解説=沖縄の南西石油は08年にブラジル国営エネルギー会社ペトロブラスに買収された。ブラジルの原油を輸入し、日本を含めたアジアに販売する拠点として構想されている)