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『花を愛でる』展=四季折々を見事に表現=手製の御所車に花が満載=遊び心一杯、来場者ウットリ

ニッケイ新聞 2010年11月10日付け

 香月流華道研修会(池田美保子主宰)による展示会『花を愛でる』が、6、7の両日、文協ビル貴賓室で開かれ、多くの人が訪れた。02年に初開催、今回2回目。在サンパウロ日本国総領事館、ブラジル日本文化福祉協会の後援、裏千家ブラジルセンターが協力した。空間全体を花器に見立て、様々な花を活け込むことで、日本の伝統的な「四季」を見事に表現、自然への感謝溢れる展示作品に来場者から、ため息が漏れていた。
 入り口正面には、門松や羽子板、鏡もちなどをあしらった寿ぎの「お正月」が表現された。
 ひな祭りや端午の節句、お月見など、日本古来の習慣文化が順路に楽しめる趣向となっており、関心深げに説明書きを読む非日系人の姿も見られた。
 雪深い「冬」を表した自在鍵のついた囲炉裏の鍋には、アスパラ、ワラビ、赤カブなどの野菜が盛り込まれ、豊かな自然のありがたみも。
 石庭には、竹と筍が自由奔放な形で植え込まれ、会場中央の壇上には池田主宰自らカナヅチを振るったという花満載の御所車が展示され、多くの来場者の目を奪っていた。
 椎の実学園の子供たちも参加、可愛らしい図画や書道作品を展示、フェスタジュニーナで使われる麦わら帽子で季節感を出す工夫が見られた。
 5日夜に開かれたイナウグラソンには、約150人が足を運んだ。
 着物姿に身を包んだ池田主宰は、「はっきりとした日本の四季には、折々の美しい習慣やしきたりがある。自然への感謝、敬愛を込め、伝統文化を伝えたい」と開催主旨を話し、関係者らに感謝の言葉を述べた。
 香月流の藤原興人理事長、文協副会長で裏千家ブラジルセンターの林円さん、総領事館文化班の高橋祐亮副領事がそれぞれあいさつした。
 今回のイベントの総合コーディネーターで司会も務めた清水裕美さんは、「社中(生徒)の皆さん70人が頑張った。準備をしているときも日本人のDNAが湧き上がってきた」と苦労を感じさせない充実した笑顔を見せていた。
 「アチバイアの『花といちご祭り』には毎年訪れる。生け花が大好き」というゼツーリオ・スパダさん(69)は、マイリポランから家族で訪れた。
 藤谷睦さん(73、広島)は、「四季の美しさを取り込んだ素晴らしい展示会だと思う」と熱心に作品を鑑賞していた。