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TCUが工事差止め請求=PACも含む32件で=ルーラ継続指示の2施設も=大統領選の目玉も槍玉に

ニッケイ新聞 2010年11月11日付け

 連邦会計検査院(TCU)が9日、経済活性化計画(PAC)18件を含む32件の工事差止めを求める報告書を上院、下院の議長に提出と10日付伯字紙が報じた。32件の中には、昨年度も問題が指摘されながら、ルーラ大統領の指示で継続されていた2施設の建設、改修工事も含まれている。

 TCUが行った231件の事業計画についての監査の結果、特に重大な問題があると指摘されたものは32件。工事差止めには及ばないまでも何らかの問題ありとされたのは190件だ。
 TCUの監査は毎年行われ、PAC13件を含む41件の工事差止め請求が提出された09年9月には、大統領府とも衝突しかねないほどの緊張を引起こした。
 今回の報告書はルーラ大統領やジウマ次期大統領不在中に提出され、昨年の様な緊張を生む事態には至っていないが、32件の中には、パラー州のジェツリオ・ヴァルガス製油所改修やペルナンブコ州のアブレウ・エ・リーマ製油所建設(共にペトロブラス傘下)も入っている。
 この2施設の工事は、昨年の工事差止め請求の対象となりながら、ルーラ大統領が工事の継続を指示。TCUでは、古い問題が依然として残っていると指摘すると共に、新規契約の違法性を疑っている。
 TCUが指摘している問題は、市場価格との差が大きい、水増し請求の可能性、入札の不当性、計画の無断変更など。356億レアルに上る事業費が計上されている231件の会計上の問題を洗い直す事で、26億レアルまでの経費節約の可能性があるという。
 TCUの目的は工事を差止める事ではなく、適正な条件下で事業が進められるよう促す事。違法性が指摘されたりした場合は、連邦議会が事業費の払い出しを中止するなどの処置をとる事を要請するが、その実行は、連邦議会や議会の決議を裁可する大統領の判断に委ねられる事になる。
 今年の監査で工事差止請求の対象となった事業には、ジウマ氏が大統領選の宣伝に使った南北鉄道やエスピリトサント州のヴィットリア港の接岸施設工事などが含まれている他、昨年のリストに掲載された、ヴィットリア空港やサンパウロ州グアルーリョス空港の改修・拡張工事、ミナス州の国道265号線工事などが再指摘されている。
 TCUが指摘した事業については、予算審議委員会で検討の上、予算の払い出しを認めるか否かの決議を行う事になる。
 国が行う事業計画は、環境許可取得や入札規定の制定その他で遅れ、計画当初の予算以上の額となる事が多いが、事業によっては倍額請求となるものもあり、TCUが常に目を光らせている。