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保育園経営者が幼児虐待=衝撃の犯行撮影し逮捕へ=同種事件は上半期に36%増

ニッケイ新聞 2010年11月11日付け

 ゴイアス州州都ゴイアニア市で9日、2歳以下の幼児に虐待を行っていた市内パルケ・ダス・ラランジェイラスの私立保育園経営者マリア・ド・カルモ・セラーノ(62)が逮捕された。犯行現場をおさえた衝撃の映像はグローボなどで公開されていた。9日付伯メディアが報じた。
 同園での虐待の事実は以前より報告されていたことから、市警の捜査に協力した園内職員により犯行現場が撮影された。映像では、幼児を叩く、殴るといった暴行のほか、マットレスへ放り投げるといった衝撃の場面も映し出された。血が滲むまで壁に手を擦りつける、トイレに閉じ込めるといった体罰にも及んでいた。
 映像を撮影した職員は「幼児が食べ物を吐くと嘔吐物を食べさせた。額を叩き、後ろへ突き飛ばしていた」とこれまでの虐待も説明し、「セラーノはいつも幼児を泣かせるのが楽しいと言っていた」と証言。セラーノが、職員らに警察に供述しないよう口封じしていたことも明かされた。
 9日午前、一時拘留命令が下され、セラーノは同日午後に自首。セラーノが警察署の青少年養護課に到着すると、待ち構えていた保護者らが掴みかかろうとする、罵声を浴びせるといった騒ぎも起きた。保護者側は「なぜ大金を支払って、大事な息子を虐待されなければならないのか」と、憤りを隠せない様子だ。
 また、7日にはミナス・ジェライス州南部のポウゾ・アレグレでの父親の2歳男児への虐待が母親により通報されている。鎖骨を骨折し、手のひらにあざを作った息子の様子から虐待を懸念した母親が、家具の間に忍ばせた携帯電話のカメラで虐待現場を撮影。自身の家族に相談を持ちかけた母親は、その映像を警察へと持ち込んだ。
 サンパウロ総合大学付属病院によれば、今年上半期の児童虐待件数は昨年同期の36%増(全体の10%は性的虐待)。60%が両親による虐待で、その次は、継母や継父、近親者による事件が多いという。
 さらに、泣き声をあげる頻度が多い男子児童が虐待対象となる傾向が強いほか、こういった虐待の75%がまだ自己表現ができない2歳以下の幼児に集中していると示された。虐待を受けた児童の100人に5人が死に至っている。小児科医は幼児に睡眠時間や食欲の減少、極端に人を怖がるといった突然の変化が現れた時は、何らかのトラウマを抱えている可能性があると警告している。