ニッケイ新聞 2010年11月12日付け
韓国でのG20サミット出席中のジウマ次期大統領が11日、「米国の通貨政策は偽装した保護貿易主義を拡大する」とし、ドル安が世界経済に深刻な影響を及ぼしている事を批判したと11日付G1サイトが報じた。
14年までに政策金利の大幅引下げなどを公約したジウマ氏にしてみれば、11年半ばまでに6千億ドルを投じて国債購入という米国の追加金融緩和政策は、ドル安を増長する由々しき問題だ。
ルーラ大統領やマンテガ財相らと共に大統領選後初の国際会議に出席しているジウマ氏は、10日に韓国交通相と会い、高速鉄道について話したりしたが、今回のサミット最大の関心事は米中を中心とした通貨戦争だ。
国際的な金融危機勃発直後は参加国や地域が一体となって問題解決に取り組む姿勢が見られたサミットも、今年の場合、国や地域で回復の度合いも異なるから問題解決は国や地域毎でという考えが支配的になり、全体的な解決策を探るのが困難となる可能性が強い事などは7日付エスタード紙や10日付フォーリャ紙なども報道済みだ。
米国の追加金融緩和政策発表とその後のドル安は、グローバリゼーションが進み、各国の政策が世界大の影響を及ぼす事を立証した例とも言えるが、米中の通貨政策批判はドイツなどの先進諸国からも出ている。
外・財務次官クラスの会議後に開催された韓国サミットでは、11日に首脳や財務相の夕食会が持たれたが、米中の通貨政策に急速な変化が現れる事はないとの見方が一般的。ルーラ大統領も同日、「自国本位の政策を避けよ」と提言したが、通貨安戦争については、最終宣言でも回避合意程度の記述となりそうだ。