ニッケイ新聞 2010年11月13日付け
今年1~10月半ばまでのデング熱による死者が592人に及んだ。感染報告は93万6260件で、昨年同期の48万9819件と比較すると91・14%の増加。90年代後半に流行った1型デング熱の再流行が懸念されており、保健省は11日にデング熱発生調査の結果を公表、注意を促している。12日付伯字紙が報じた。
1型デング熱に関しては、国民のほとんどが免疫を持っていないのが実情で、今年の感染による死者は、昨年同期の312人を上回っている。
保健省にデング熱患者の発生状況についての報告書を提出したのは全伯418市で、報告書未提出の市も約120あるようだ。デング熱を媒介する蚊の幼虫(ボウフラ)発生率が4%を超えた北東部11市、北部3市、南東部1市の15市が流行の危険地域に挙げられた。州単位では、アマゾナス、アマパー、マラニョン、セアラー、ピアウイー、パライーバ、ペルナンブーコ、セルジッペ、バイーア、リオが危険地域となる。
危険地域には指定されなかったが、サンパウロ州では、10月半ばまでの感染者が昨年の9710人から20万2312人へと1983・5%の激増。患者の発生率が高いのは、アンドラジーナ、バレットス、バウルー、クバトン、リベイロン・プレット、サンセバスチアン、タウバテ、ツッパンだ。
蚊の幼虫大量発生の形態は、地域ごとに異なる。北部、北東部では池などの貯水池での発生が多く、南部、南東部の場合は花瓶、植物の鉢、プールなどの家周り、中央西部ではゴミから発生するケースが目立つ。
サンパウロ市南部グアラピランガ公園で蚊に刺され、発症したというレナット・デ・リマ・サントスさん(28)は2週間休職。「肝臓が弱り、食欲が落ちて4キロ痩せた」と話している。身体に斑点が現れる、全身に筋肉痛を感じるといったデング熱の兆候が見られる場合は、自らの判断で薬を飲む前に医者の診断を受けることが重要だ。
ジョゼ・ゴメス・テンポロン保健相は「ワクチンの開発に力を注いでいるが、3年以内の開発は難しい」と見解。保健省では、ポスターやパンフレットで予防を促すキャンペーンを開始した。
一方、サンパウロ州ジャボチカバル市では市保健局のデング熱予防運動の中、ゴミの山となっていた60代夫婦の住居が発見された。ゴミの除去作業が進められ、すでにトラック75台分のゴミが運びだされたという。