ニッケイ新聞 2010年11月17日付け
今年7月にカサビサンパウロ市長が裁可した〃累進的IPTU(土地家屋税)〃が、来年度から適用される事になると13日付エスタード紙が報じた。将来的には没収して低所得者向け住宅を建築する事も見越したプロジェクトの対象は12万軒余りで、その8割はセントロに位置するという。
無人、不使用の建造物に対し、時価の15%を上限に5年間の累進課税を課すという同法案は、民主社会党(PSDB)のジョゼ・ポリセ・ネット議員が上程したもの。市議会承認後の7月2日にはカサビサンパウロ市長が正式に裁可している。
セントロやその周辺にある社会事業対象特別地域(Zeis)内にある敷地面積250平方メートル以上の空き家や不使用建造物で、累進課税の対象となる家屋は現時点で12万2179軒。
これらの家屋の所有者には来年早々IPTUの請求書が送付されるが、1年以内に実際の使用が証明できない場合、5年間の累進課税を課される家屋の総面積は、セントロだけで500万平米。これらの無人、不使用の場所は、将来的に市が没収し、低所得者向け住宅を建築する事を前提としており、住宅不足解消の一助にするという。
サンパウロ市内で同法適用の対象となるZeisは、取り壊しが始まったビルのあるサンヴィットやクラコランジアの他、パライゾポリスやジャルジン・エディッテのファヴェーラなど約900カ所。
Zeisは、ノヴァ・ルス計画の対象でもあるクラコランジアなど、セントロが圧倒的に多く、12万軒余りの累進課税対象物件中、8割の9万8485軒はセー区役所の管轄内にある。
対象物件の一例は、10月始めに土地なし農民ら2080家族が占拠した4つのビルの一つで、860家族が住み着いていたイビランガ大通りの15階建てビル。1970年代末までは映画館、80年代はホテルとして使われた同ビルは、2004年以降放置されたままだったという。
土地無し農民らが占拠したその他のビルはサンジョアン大通りやプレステス・マイア大通りにあるが、いずれも10年近く使われてなかった。
クラコランジアから追われた麻薬常習者の溜まり場と化し、住民の頭痛の種ともなっていた、リオ・ブランコ大通りにある1万2千平米の無人倉庫も、同法適用により解決を見ると見られている建造物の一つだ。
Zeisは低所得者向け住宅建設も含む再市街化計画地域で、対象物件が空き家となっているか否かの洗い直し作業やIPTU請求書発送のための準備は、市収税局を中心に進められている。