早朝のパウリスタで混乱=少年グループが無差別暴力=事の発端はゲイへの偏見か
ニッケイ新聞 2010年11月17日付け
14日早朝、サンパウロ市パウリスタ大通りで16~19歳の中流階級の少年5人が無差別に通行人に暴力を振るう事件が起こった。被害に遭ったのは、20代前後の青年4人。被害者2人が、暴行の際に同性愛者を罵る言葉を浴びせられたと供述しており、警察では、事件の発端は同性愛者への偏見の可能性もあると推測している。15日付伯字紙が報じた。
少年グループは、市内南部で夜通し開かれたイベント会場からの帰途、バスで同大通りに到着。午前6時半、大通りにある地下鉄ブリガデイロ駅付近にいた19歳、20歳の青年が横断歩道を渡ってきたグループに何の前触れもなく殴る、蹴るなどの暴行を受けており、1人は意識を失い、病院に運ばれた。暴行に加え、「釜野郎!」「ゲイカップル」といった同性愛者への罵声を浴びせられた。
その直後に被害に遭ったのは23歳の青年LABさんで、友人とバラーダ(ダンス会場)からの帰途に着いたところだった。同じく突然襲われており、蛍光管で顔を殴られ、地面に倒れた後も殴る、蹴るの暴行が続けられた。一緒だった友人2人は、訳が分からないまま何も出来ずにたたずんでいたという。
目撃者の通報により、すぐさま警察が到着。19歳の青年が現行犯逮捕され、16~17歳の未成年4人も警察署へと連行された。
また、後に、同グループとの関連が挙がってきたのは、同日午前3時に同大通り付近のブリガデイロ・ルイス・アントーニオ大通りで発生していた強盗事件。被害を受けた18歳男性が同日午後に通報、同少年グループを犯人と証言している。少年グループ側は、前述の2件に関しては暴力を起こした事実を認めているものの、同件に関しては関連を否定している。
事件の知らせに驚きを隠せないのは、加害者側保護者。メディアに対して「普段は大人しい子」「今まで暴力事件を起こしたことはない」などのコメントが載せられた。
加害者側の親や弁護士の言い分では、グループの1人が同性愛者に言い寄られたことからいさかいが起こり、混乱を招いたという証言も挙がっているが被害者らは否定。保護者が警察署に到着した際には、連行された少年ら全員が泣いていたという。5人は15日に釈放され、この後は唯一成人の19歳青年に犯罪の有無を供述する機会が与えられるが、被害者やその家族からは、親のすねかじりによる犯行や容易に釈放した司法当局への批判の声も出ている。