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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年11月20日付け

 国家というものは、足を一歩踏み間違えるとまっすぐには行けないで横道にと進む。あのミャンマー(と呼ぶのは日本など少なく、元のビルマ)も、総選挙を実施したのはいいが、軍政翼賛政党が全議席の8割を獲得し大勝利だと、軍事政権が発表したが、反政府派のスー・チーさんを始め、これを信じる人はいない。逆に―大いなる不正ありの声が轟音となり鳴り響く▼このところ経済的な躍進が目覚しく、軍事巨大国にもなった中国は、捉えようによってはもっと悪い。あの国の5000年の歴史は、専制君主によって支配されたところであり、21世紀になった今もそんな性格が強い。共産党独裁であり、党の方針に反対するものは、厳しく罰する。そんなお国柄ぶりを堂々と露呈したのが、ノーベル平和賞の授賞式に出席しないでと各国に要請したことである▼平安門事件で活躍した劉暁波氏は、民主運動家であり、共産国家には批判的である。このため、劉氏は刑務所に服役中だけれども、ノーベル平和賞委会の眼は誤魔化せない。中国は猛反対したけれども、今年の平和賞に決定し世界中に拍手喝采が巻き起こったの記憶は新しい▼さあ―面白くないのは胡国家主席らの党や政府である。そこからの発想が「閑寂な授賞式」だろうと愚察するのだが、この外交文書?は日本にも届いたが、勿論、日本のノルウエ―大使は、アメリカと同じように出席するし、恐らく中華大国の意向に沿って欠席するのは北朝鮮だけではなかろうか。と、何ともバカバカしくも疎ましい話なので真に以って困ることしきりなのである。(遯)