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キロンボの土地所有で難儀=都市部でも返還が求められ=次期政権への大きな課題に

ニッケイ新聞 2010年11月23日付け

 2003年のルーラ政権誕生時点にキロンボ(逃亡奴隷の集住地)の所有権が確立され、その申請は増加したが、土地の所有を認める法的な確約書が実際に発行されたケースは未だ少ない。最近では従来と異なり、都市部での土地申請で係争が起きる例も増えるなど、同問題は次期ジウマ政権でも論議の的となりそうだ。20、21日付伯字紙が報じた。
 ルーラ大統領は22日、サンパウロ州エルドラード・パウリスタにあるキロンボ・イヴァポルンドゥヴァに対し、土地所有を確約する登録書を発行し、70家族が住む2700へクタールの所有を正式に認める。
 しかし、こういった認定はまだほんの一部。人種平等促進局によれば、すでに存在が認証されている3524のコミュニティでは、その全てが土地の所有権の保障を求めているが、その実現に至ったのは113カ所に限られている。
 ゴイアス州に住む600家族のキロンボ・カルンガが25万320ヘクタールの所有認可という異例のケースを除くと、今までにキロンボとして所有が認められた土地は、1万1506世帯が占める97万1300ヘクタール。現在申請中の全てのコミュニティに土地所有が認められるとすれば、その総面積はリオ州の2倍に相当する850万ヘクタールになると想定されている。
 キロンボ住民への土地所有の確約は、今後さらに論議を呼ぶと考えられる。それというのも、これまでに権利を保障した土地の大部分は、公的機関が管理していた土地だったことや、その土地の6割はパラー州やゴイアス州を中心とする北部、北東部で農地として使用されていない場所であり、土地係争はさほどなかったため。
 だが、近年は所有権を争う土地が北部、北東部地域から中央西部、南東部、南部の土地へと変化。これらの地域では、申請された土地がすでに農地となっていたりするため、現在の地主側も訴訟に打って出るケースが一般的になっている。また、一部のケースでは都市部の土地返還をも求めており、例えば、リオ市では3つのコミュニティが市内の土地の所有権を要求している。
 その状況がより簡潔だったカルドーゾ政権時代では、ルーラ政権下で認定した土地の4倍の面積である77万7700ヘクタールの所有を認めていた。サンパウロ州では27コミュニティが認証を与えられており、6つのコミュニティが土地の所有を認められている。