ニッケイ新聞 2010年11月24日付け
民間航空監督庁(Anac)が22日、年末年始の休暇に新たな混乱が起きるのを避けるため、オーバーブッキングを禁じるなどの対策を発表したと23日付伯字紙が報じた。利用客が増える年末年始恒例の対策だが、単発的な大混雑も発生した今年は、乗務員らのスト予告もあり、対策が後手に回ったと指摘する声も出ている。
GolやWebjet便での遅れやキャンセルが相次ぎ、国内主要空港で大混乱が生じた事は記憶に新しい今年、昨年比12%増の1400万人の利用が見込まれる年末年始の混乱回避策検討会については21日以降、連日報道されていた。
しかし、22日発表の定員枠以上のチケット販売(オーバーブッキング)禁止は、大手航空会社の一つが定員枠を一万近く超えるチケット販売済みなど、遅きに失したとされる項目の一つだ。
2014年のサッカーW杯や2016年のリオ五輪はもちろんだが、現在のブラジルの航空業界は、所得向上などによる利用客増加が前年比30%に達し、空港設備や航空機の収容能力の限界が取り沙汰されている状態。
新規顧客も増える年末年始を切り抜けられるか否かは今後を占う試金石ともなるため、Anacと航空会社6社代表、インフラエロ(空港インフラ業務公社)その他の関係者が集った22日の会合では、12月17日~1月3日の期間中、ブラジリアに臨時ターミナルを設置する事や、各社が予備機を配置し人員を増やすなどの対策を講じる、キャンセル便が出た場合、乗客の便を図る事を最優先するなどの具体的項目が確認された。
その一方、リオ連邦大学教授ら専門家は、発表されたオーバーブッキングへの懲罰その他の対策は不十分で、現存施設ではW杯などの行事にも対応不可と早くも指摘。
年末年始の30分以上の遅れは18%の便で、キャンセルも5%の便で生じると予測され、主要空港には相談窓口も設けられるが、不慣れな利用客には戸惑いも多い旅となりそうだ。
更に、各社航空便の正常運行を脅かしているのが操縦士や客室乗務員などの人手不足。Anac発表の混乱回避策にも、機内乗務や空港での顧客対応などのための人員補強という項目があるが、実際には各航空会社の勤務実態改善は大幅に遅れており、休暇などの条件が守られず超過勤務が続く乗務員らは23日、主要空港で業務改善や給与引上げを求める抗議行動を展開。改善が進まなければ12月にスト決行との通達もなされている。