ニッケイ新聞 2010年11月26日付け
車両焼き討ちや銃撃戦など21日以降急速に治安悪化が進むリオ市で、犯罪組織と警察との衝突は益々激化と25日付ブラジルメディアが報じた。
21日から激化した犯罪組織の作戦は刑務所収監中のコマンド・ヴェルメーリョ(CV)のリーダーが指揮していると考える州保安局は、24日から27のファヴェーラで掃討作戦を本格化。24日は、手榴弾が投げつけられた装甲車が動けなるなど、市内各所で緊張が走り、銃撃戦による死者も18人に上った。
警察関連施設への攻撃も含む犯罪組織の作戦実行役は、麻薬密売拠点を失ったCVや、平和駐留部隊(UPP)導入拡大を嫌うアミーゴ・ドス・アミーゴス(ADA)とされ、25日も午前中だけで14台の車やバスの焼き討ちが起こった。
対抗する警察側も、25日早朝から、ジャカレジーニョに市警200人を送り込み麻薬や武器を押収。ヴィラ・クルゼイロでは、軍警特殊部隊150人と市警200人、4台の掘削機、海軍のものも含む9台の装甲車を派遣し、丘の高みに逃げた犯罪者達を追跡中だ。
警察はヘリコプターなどで相手の動きを監視しながら行動しており、バスやゴミ収集車まで使ったバリケードを掘削機などで壊してファヴェーラに侵攻している。
掃討作戦展開地域の学校や保育所などは休校となり、商店も軒並み店を閉めるなど、市民生活も緊張を強いられる中、24日には学校から帰宅途中の学生が被弾など、市民が巻き込まれる事故も多発。自宅で流れ弾に当たった娘を病院に運んだが助からなかったという父親は、警察署に飛び込み「お前らの作戦が罪も無い人間の命を奪った」と抗議したともいう。
地域病院は消防の手も借りて人員補強など、14年のサッカーW杯や16年のリオ五輪を前に緊張が続く町の様子に世界中が注目し始めている。