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日本語への熱意に感嘆の声=国際交流基金=盛況の全伯スピーチコンテスト=優勝はヴィトリアのエルデルさん

ニッケイ新聞 2010年11月26日付け

 国際交流基金サンパウロ日本文化センター(内山直明所長)は20日午後、同センターで「第16回全伯日本語スピーチコンテスト」を開催した。各地の予選を勝ち抜いた日系人5人、非日系人8人がそれぞれのテーマで発表。審査の結果、日本語を始めて2年半というヴィトリア出身のエルデル・シルヴァ・フォゴスさん(Helder Silva Fogos、22)が優勝を獲得した。当日は、家族や日本語学校教師ら70人が応援に駆けつけた。

 内山所長が委員長を務める審査員グループは、在聖総領事館の高橋祐亮副領事、久保島康正サンパウロ日本人学校校長、松原礼子USP助教授、池津丈司日本語教育専門家で、内容、日本語表現力、音声表現力、聴衆意識度を基準に審査にあたった。
 「夢を叶えるために努力すること」というテーマでエルデルさんが話し始めると、そのきれいな発音に「非日系人なのに!」と会場からは感嘆の声が漏れた。エルデルさんの夢は、日本語を勉強すること。アニメ、漫画好きのヘルデルさんが日本語を学習したいと言うと、父親は本気と理解してくれず許してくれなかったという。自身で働き始めてから、ヴィトリア日系協会を頼りその夢を実現。
 短い期間で磨き上げた日本語で優勝トロフィーを手にし、「僕は挑戦者」と表情を引き締めるエルデルさんは、「早く父に知らせたい」と喜びを噛み締めた。
 2位に選ばれたのは、ポルト・アレグレから参加のマテウス・デ・ソウザ・エスコバルさん(21)。リオ・グランデ・ド・スル連邦大学の化学工学コースで学ぶマテウスさんは、大学に残り研究を続ける道と企業で働き始める違いに言及し、自身の進路を語った。大学での勉強を説明する時には専門用語もところどころに織り交ぜ、堂々と切れの良いスピーチが会場を惹きつけた。
 4年前にPUC日本文化研究所で日本語を始めたマテウスさんだが、もちろん大学の勉強が忙しい。日本語の学習には通学バスの中で本を読むなど地道な努力を続けているそうだ。「いつか日本の大学院で技術を学びたい」と目を輝かせた。
 3位は「家で日本語のダジャレを言っては家族に聞こえないフリをされる」と言って会場の笑いを誘った日系二世のサンパウロ代表川原悠さん(20)。川原さんは、日本語の言葉遊びが大好き。スピーチの中ではお気に入りの諺やダジャレを披露し、日本語の言葉への強い関心をアピールした。
 特別賞では、退職後に日本語モデル校に入学し、やっと念願の日本語の学習に集中する機会が得られたと発表した渋川エレナさん(二世、59)がきれいな日本語賞を獲得。表現技術賞にはマリオ・セルジオ・パルマ・ノゲイラ・デ・オリベイラさん(21)、奨励賞に佐々木ナジアさん(21、二世)が選ばれた。