ニッケイ新聞 2010年11月27日付け
【既報関連】24日から犯罪組織掃討作戦を本格化させたリオ警察は25日、コマンド・ヴェルメーリョ(CV)の本拠地の一つともいえるペーニャ地区のヴィラ・クルゼイロに侵攻。警察の動きを読んだCVメンバーが隣のアレモン地区に逃げた事が確認された25日夜は、同ファヴェーラ制圧宣言も出された。
26日付ブラジルメディアによると、リオ市北部のVクルゼイロは、CVのフェルタレーザ(要塞)であり、何かあれば逃げ込める港ともいわれた場所の一つで、Vクルゼイロ制圧はリオ州政府にとり、大きな勝利だ。
25日朝ペーニャ地区到着の海軍装甲車は、履帯(キャタピラー)走行で火砲を搭載した旋回砲塔付きの戦車。住民の中には拍手で迎えた人もいた一方、「これでは本当に市街戦」とショックを受けた人もいたが、午前中にジャカレジーニョを制圧した市警も加わった午後からのVクルゼイロ侵攻で威力を発揮したのがこの戦車。軍警の装甲車4台と2種9台の戦車に分乗した特殊部隊や海軍射撃手60人など、Vクルゼイロに侵攻した警察側勢力は510人。作戦の指揮官は戦車が侵攻を容易にしたという。
一方、グローボ、レコルデ両局のヘリコプターからの映像などで一連の動きを知りえたのは一般市民だけではなく、CVメンバーは警官のいない丘の峰伝いに隣のアレモン地区に逃亡。小銃などを手に土道を移動する様子も放映され、25日中に同地区を占拠した警察は、制圧宣言の上、次の平和駐留部隊(UPP)は同地域配置の予定と発表した。
同地区では26日も戦車などが派遣され、CVが残した60台以上のバイクその他を押収。学校は休校となったが、商店は営業を再開している。
他方、CVメンバーが逃げ込んだアレモン地区では、連警の応援も得た警察が26日朝から包囲網を築き、掃討作戦を継続。CVは25日中に住民の外出を禁じ、ガスボンベを路上に置いたりして応戦体制を整えた。26日も軍警ヘリへの射撃など抵抗を続けている。
保安局によると、26日朝までに焼き討ちされた車は25日の42台や26日の5台など、97台。死者は25日のジャカレジーニョ9人とロッシャ・ミランダ2人など39人(警官や民間人も含む)で、逮捕又は身柄拘束者は192人と報告されている。
ルーラ大統領は25日に「犯罪者一掃のためにはどんな協力も惜しまない」と発言。国防省も空軍ヘリ2機と兵士800人などの派遣など、真の平和獲得に向けた戦いはまだ続いている。