ニッケイ新聞 2010年11月27日付け
サンパウロ州文化遺産審議会(Condephaat)では今月、1890~1930年の旧共和制時代に建設された由緒ある公立学校126校を文化遺産として登録、11日付官報上で発表した。サンパウロ市内にある11校のほか、州内102市の学校が指定された。サンパウロ市市立劇場などを手がけた建築家ラモス・デ・アゼヴェード氏設計の学校も7校含まれている。26日付エスタード紙が紹介した。
100年の歴史を数えるこれらの建築物はフランス建築の影響が見られ、左右対称の構えをしているものが多い。同時代の学校でも、1890~94年建設のものと1911年以降の建設のものとでは、様相が多少異なるようだ。
1890~94年に建設された学校は、ラモス氏や当時できたばかりの州建築部門により設計されており、新古典主義、折衷主義の要素を持つ。ほとんどが2階建て、教室は廊下を中央に挟む形で並び、8~20室を備える。ジュンジアイー、カンピーナス、イタペチニンガ市などに残されている。
サンパウロ市で1980年代初期に作られた学校は、すでに文化財として登録されているレプブリカ広場のカエターノ・デ・カンポス学校のほかは、ブラス区のロモン・プイガリ州立学校が唯一。ラモス氏の設計で1894年に建設され、現在でも初等教育1~4年生の生徒800人が通っている。
一方、州政府は、1911年以降、学校施設増設に向け、再度大規模な投資を行っている。この時期に、州内各地に建設された学校は90校以上。外観は1890年代のものと似通っているが、同時期のものは小規模で1階建てのものが多くなっている。リベイロン・ボニートやドウラードスの学校が挙げられる。
同審議会の専門家で建築家のシルヴィア・フェレイラ・サントス・ウォルフさんは「校舎を文化遺産とすれば、歴史の1コマを保存できる」と話し、「これらの学校を見れば、この時代にフランスからグループ教育の概念が入って来たことやサンパウロ州が教育分野に力を注いでいた様子が伝わってくる」と紹介している。
今回文化遺産に指定された校舎では、外観を損なう掲示物などの取り外しが指導され、一般公開が見込まれている。