ニッケイ新聞 2010年11月30日付け
国立ガンセンター(INCA)は1995~2000年と2000~05年に実施した調査内容をもとに、女性のがんの実態を比較した。喫煙の増加により肺がん発症率が全伯14都市で増えている一方、子宮がんは十分な治療が可能な初期段階での発見が広まっているという。27日付エスタード紙が報じた。
例えば、女性の肺がん発症率が最も高かったポルト・アレグレ市での2000~05年の発症率は、10万人につき23・32人。1995~2000年は16・11人で、44・75%増えている。
こういった現象は女性の喫煙普及と連動していると考えられる。ブラジル地理統計院(IBGE)のデータでは人口の17・5%が喫煙者、男性は22%、女性は13・3%。ポルト・アレグレ市での同期間の男性の肺がん発症率は54・76人から66人に増えたが、増加率は20・66%に止まっている。
女性で1日に2箱以上のたばこを吸う人は、たばこを吸わない人と比べると肺がんで死亡する可能性が20倍も高い。女性の喫煙者は肺まで吸い込む事が多く、男性より起こり易いがんもある。喫煙は心筋梗塞や肺塞栓症などの誘発率も高め、65歳未満の女性の場合は死因の4割、65歳を超える場合は死因の1割が喫煙による病気とされている。
一方、子宮がんの大半を占める子宮頸がんに関する調査では、ブラジルのほとんどの都市で十分な治療が可能となる早期発見が普及してきたことが示された。INCAのルイス・アントニオ・サンチニ所長が「一般的には早期発見で100%完治できる」と強調しているように、子宮頸がん治療は早期に適切な診断を受けることが大切。
例えば、アマゾナス州マナウス市では1995~2000年時に早期発見が10万人中19・49人、自覚症状がなく発見が遅れたケースは63・71人であったが、2000~05年の調査では、その差が27・78人と50・59人に縮まった。ゴイアス州ゴイアニア市やパラナ州クリチーバ市では、早期発見が発見の遅れるケースを上回るという良い兆候を見せており、まだ比較的認知の低い北部、北東部地域でさらに早期発見を促していくことが今後の課題となる。
子宮頸がんは性感染症であるHPV(ヒトパピローマウイルス)感染によっても引き起こされるもので、現在のところ、予防ワクチン接種に関する政府支援はない。