ニッケイ新聞 2010年12月1日付け
地理統計院(IBGE)が11月29日、国勢調査によるブラジルの総人口は1億9073万2694人と発表した。11月30日付伯字紙によると、2000年以来の増加率は全国平均で12・3%。北部や中西部では20%以上増えている。
11月初頭に1億8570万人と発表された総人口は、集計漏れ家庭の再訪問などで前回調査より12・3%増の1億9千万人台となった。
今回調査の特徴は、従来は大都市を中心だった人口増加が、北部や中西部の中規模の自治体でも起きた事。農産物加工などアグロビジネス発展に伴う人口移動が起きた中西部では、都市開発も進む連邦直轄区の24・95%を筆頭に、20・74%増。ゴイアス州ルーカス・ド・リオ・ヴェルデは135%増えた。
中規模都市ではリオ州リオ・ダス・オストラスも190%増を記録したが、増加率最高はサンパウロ州バウビノスの199%。但し、この急増は刑務所建設に伴うもので、男性が人口の82・20%という不均衡も生んだ。
従来は海岸に近い地域に集中していた人口が内陸部にも拡大し始めたのも今回調査の特徴だが、長寿化に伴う男女比の変化も特筆されている。
全国では男性9339万532人に対し女性9734万2162人で、女性100人に対し男性95・9人。男性優位の唯一の地域は北部で8千万4129人対786万1549人だった。前回調査では女性100人に対し男性96・9人で、犯罪や事故などで生じる平均寿命の差拡大を反映しているようだ。
都市別人口はサンパウロ市1124万4369人、リオ市632万3037人、サルバドール市267万6606人と続く。大都市の増加率最高はフリーゾーンなどで人口増のマナウスの28・22%。24・95%増のブラジリアが6位から4位、マナウスは9位から7位に上昇した。
人口最少はサンパウロ州ボラーで、10年前の1200人が805人に減少。アルコール工場がある町への人口流出が原因で失業者が多いのが悩みだが、犯罪発生率0%の町への移住希望者は多く、将来的には増加の見込みだ。
国勢調査には経済動向なども表れるが、サンパウロ市では出産と死亡の差に伴う自然増110万3千人に対し、他市への人口流出が29万3千人。人口流出はオザスコやカラピクイーバ、サントアンドレなどの大サンパウロ市圏でも一般化しているが、上流階級向けの高級住宅増のコチアやアルファヴィレ、サンパウロ市への通勤圏と見なされ始めたジュンジアイなどは流入増となっている。
なお、100歳以上の長寿者は2万4576人で人口の0・012%に増えた一方、家族構成人数は3・75人から3・3人に減り、少子化を反映。長寿者はバイア州の3525人を筆頭に北東伯に多く、人口1位のサンパウロ州は3146人、2位のミナス州は2597人。