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緊張の中COP16開催=柔軟性持ち協調とブラジル代表
ニッケイ新聞 2010年12月1日付け
11月29日から今月10日まで、メキシコ・カンクンで開催の気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)は、厳戒態勢のもとで会合開始と11月30日付ブラジルメディアが報じた。
カルテルと呼ばれる麻薬犯罪組織が横行し、ホテルから会議場までの移動は指定された乗り物だけ、小銃を構える警官や海岸警備隊がそこここに見られるという特別な警戒態勢下で開催される同会議の中心は、京都議定書に次ぐ2013年以降の温暖化対策だが、現実には合意書作成は難航との見方が一般的。開会式も「すべてを解決する事は不可能だが」との前置きで始まったほどだ。
それでも、会議議長のクリスチアナ・フィゲーレス氏は、気候変動に対処するための基金設立や技術移転などについての合意のほか、森林伐採に伴う温室効果ガス排出量の削減のためのメカニズムの確立や、温室効果ガス削減への何らかの合意を得たいとしている。
一方、ブラジルのルイス・アウベルト・フィゲイレード代表は、190の参加国や団体が自分の立場だけを主張するなら合意はあり得ない事は周知の事とし、互いの違いを認識しつつ柔軟に対応すべきとの考えを表明。
会議では、森林資源などに依存する新興国や開発途上国支援のため、2020年までに先進諸国が年1兆ドルを拠出して設立する基金の運営方法なども話し合われる。先進国は京都議定書以後も大幅な温室効果ガス排出削減に努めるべきとする途上国と、途上国も交えて新たな枠組を作りたい先進国や中国などがどんな議論を展開するかが注目されている。