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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年12月1日付け

 拳銃一丁の日本の警官と違って、普段からリオ軍警のエリート部隊(BOPE)は軍隊並みの装備を誇る。それが今回のファベーラ進攻では海軍提供の戦車同然の物々しい装甲車やらが動員され、まるで市街戦そのものの光景が展開した。しかもテレビを意識してか、わざわざ週末の午後に進攻をしたものだから、夕方のニュースに釘付けになった市民は多かった▼グローボのコメンテーターで、大ヒット映画『トロッパ・デ・エリーチ』の生みの親、元BOPE大尉のロドリゴ・ピメンテウ氏も「まさか海軍の装甲車が出るとは思わなかった。これは映画以上だ」と語っていたのが印象的だった。当国の日常は小説や映画よりも遥かに奇なりと普段から思っていたが、その通りの一幕だった▼今回のアレモン区などには平和駐留部隊(UPP)が設けられる。今までは警察の撤退と同時にマフィアが復活するいたちごっこが続いていたが、UPPにより治安安定化が決定的になった。いわば州警の切り札だ。これが日本の交番制度の影響を強く受けて創設されたことは、意外に知られていない▼JICAは00年からサンパウロ州軍警に交番の移植を開始し、08年にはサンパウロ州軍警が全伯軍警の研修生を受け入れる形に広がり、リオ州警からも現場レベル30人が研修を受け、さらに幹部クラス2人が訪日して交番の状況を視察した。JICAブラジル事務所の坂口幸太班長によれば「そのメンバー数人がUPPの要職に就いている」という。実際UPP創設は08年末からだ▼本家交番には機関銃や装甲車はないが、ブラジル風に適応強化された結果として興味深い。(深)