ニッケイ新聞 2010年12月4日付け
11月24日の経済関係閣僚に続き、3日午後、次期政権の閣僚人事の一部が発表された。同日付メディアによれば、今回発表されたのは大統領の側近である大統領府関連2人と法務相で、リオ州知事の先走り発言で波紋が起きた連立与党の民主運動党(PMDB)をなだめるための同党選出閣僚発表は見送られた。
経済閣僚発表時から予告されていた通り、次期政権の担当閣僚公式発表第2弾は、大統領のお膝元で、将来の大統領候補に最も近いとも言われる大統領府関係閣僚だ。
最初は、ジウマ次期大統領自身が大統領選出馬直前まで務めた官房長官職。政権全体の調整役でその権限も大きいため、汚職を生み易い体質も持つが、その職責を負うのは、現、次期大統領の信任も厚いアントニオ・パロッシ氏だ。
官房長官の権限を縮小して、大統領府総務長官の権限を増大しようと考えていた次期大統領が、総務長官候補にと考えていた同氏は、第1期ルーラ政権で06年3月まで財務相を務め、大統領選選挙参謀、組閣作業の中核であると共に、ジウマ氏をルーラ政権の組閣作業に参加するよう招いた人物でもある。
ルーラ、ジウマ両氏からの信任の厚いパロッシ氏を、権限拡大後の総務長官にとのジウマ氏の意向が覆ったのは、総務長官にジウベルト・カルヴァーリョ大統領秘書室長を推すルーラ大統領の意向を尊重したためだ。
この時点で大統領府改革構想はやや逆戻りし、パロッシ=官房長官の可能性が強まったが、経済活性化計画(PAC)などは企画相に委ねる事になったとはいえ、表に出る事が多い同職就任を1度は拒んだ同氏の説得役もルーラ大統領だった。
一方、社会運動組織も含む各種団体との調整役などを務める大統領府総務長官への転任が決まったカルヴァーリョ大統領秘書室長は、ルーラ政権初期から8年、大統領側近を務めてきた人物だ。
他方、やはり3日と見られていたアレシャンドレ・パディリャ政策調整局長官の留任発表は、保健相への転任の可能性も出てきて留保された。
保健相については、セルジオ・コルテス同州保健局長の名がPMDBの同意を経ないうちにリオ州のセルジオ・カブラウ知事の口から漏れ、党が反発。同知事は勇み足を認めて詫びている。
また、3日発表の3人目の閣僚、法務相には、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ下議が抜擢された。
3日発表の3閣僚は皆PT所属。カブラウ発言で波紋が起きたPMDBをなだめるため、同時と見られていたワグネル・ロッシ農務相の留任とエジソン・ロボン上議の鉱山動力相への返り咲き発表は据え置かれた。