ウィキリークス漏洩続く=米政府のブラジルでの資源戦略も=鉱山、海底ケーブルを重要視
ニッケイ新聞 2010年12月8日付け
先月末、機密文書を含む米国の外交公電約25万点流出が発覚し、クリントン米国務長官が非難した民間の内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」上で、6日は世界300カ所でのアメリカの資源戦略が公開された。その文書ではブラジルの鉱山、テレコミュニケーション網などが米国経済への不可欠要素として列挙されていた。7日付伯字紙が報じた。
問題の文書は、米国経済、防衛の維持に不可欠とされる世界の資源、インフラ設備の重要拠点リスト。各国駐在のアメリカ大使に情報収集を要請して作成されたものとされ、2009年2月のクリントン国務長官の署名が記入されている。
リストには、南マット・グロッソ州コルンバの鉄鉱山、ミナス州アラシャー、ゴイアス州オウヴィドールとカタロン生産のニオブ、リオ、セアラー州フォルタレーザから米国へ引かれたテレコミュニケーションの海底ケーブルが含まれた。
ニオブ(耐熱合金などに使われる金属)は、ブラジルが世界の資源の98%を所有。昨年のアメリカの同金属輸入では87%を占めており、ブラジル内でニオブ生産を行う大手企業CBMM、英国アングロ・アメリカンの名も挙がっている。南マット・グロッソ州の鉄鉱山関連では、昨年ヴァ―レに買収されたリオ・チントへの言及がある。
テレコミュニケーションの重要拠点として取り上げられていたのはOiが管理するリオ、セアラーから引かれた海底光ファイバーケーブルのGlobenetとアメリカスⅡ。このケーブルは米国とブラジル間の電話、インターネット回線となる。アメリカスⅡだけで一度に15万1200件の通話を実現。これらのケーブルに問題が起これば両国の「・com」をアドレスとするインターネットサーバーに大きな影響が及ぶという。
ウィキリークスは、オーストラリア人のジャーナリスト、ジュリアン・アサンジが2006年末に創始した、政府、企業に関する機密情報を匿名でデータ化し公開するウェブサイト。世界の数学者、反政府組織などが運営に携わり、今年はアフガン紛争関連資料、イラク戦争の米軍機密文書などの公開が事件になった。
11月末には、イランのアフマディネジャド大統領がロシアのプーチン大統領との会話の中で「ブラジルの政策と何ら変わらない」と、イランの核政策を正当化していたとの情報も流された。
これらの情報漏洩はハッキングによる疑いがあり、米国で捜査が行われ、サイト閉鎖に圧力がかかる一方、アサンジ氏はスウェーデンでの性的犯罪容疑から、7日、英国内で逮捕された。