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世界の学力ランキング=ブラジルは依然下位に留まる=応用力なく、低いレベル

ニッケイ新聞 2010年12月9日付け

 経済協力開発機構(OECD)は、65カ国の15歳の高校生を対象に昨年行った国際学力調査(Pisa)の結果を発表、ブラジルは各科目で50位台と下位に留まった。ブラジルの平均値はどの科目も最低水準で、先進国並みの高水準を示した生徒はゼロに近い。OECDは2000年調査と比較し、ブラジルは世界で3番目に大きな発展を見せた国と評したが、その水準はまだ不十分、国内では発展の速度も遅いと指摘されている。8日付伯字紙が報じた。
 ブラジルは読解が53位、数学57位、科学53位。ラ米内で見れば、アルゼンチン、コロンビアを抜いた科目もあるが、依然としてチリ、メキシコ、ウルグアイの後に続いた。
 学力は1~6レベルに分けられており、ブラジル人生徒の大半が3科目全部で1、2の低いレベル。試験を受けた2万人の中で、最も高い基準のレベル6に達したのは、読解と数学でたった0・1%の20人だった。他国の生徒に比べ、読解では文章全体の意見を読み取る能力が乏しく、数学、科学では応用力の弱さが表れた。
 全ての科目で学力1位を独占したのは中国で、後を競うフィンランドやシンガポール、韓国などの他のアジア諸国に圧倒的な点差をつけた。日本は読解で8位、数学9位、科学5位。アメリカはそれぞれ17、31、23位となっている。
 OCDEの報告書は、国民一般の教育分野への投資増加がブラジルの学力向上を推進したと評価する一方、「他の職業と比べて教員の給与はどうか。自分の子供に教員になって欲しいと思えるか」といった厳しい質問を投げかけている。ブラジルは、授業の指導に関する生徒たちからの不満が最も多かった国だという。
 Pisaの結果をもとに教育省が行った州別比較では、ブラジリア連邦直轄区が3科目合計で1位、アラゴアス州が最下位。全体的に、州間格差は縮小の傾向を見せた。
 サンパウロ州は06年の11位から7位と順位を上げたが、教育システムに伝統のある南部3州と南東部ミナス、エスピリト・サント州より下位についた。各州の生徒の学力は州の経済力とは異なった様相となっている。サンパウロ州教育局のパウロ・レナト・ソウザ局長は「サンパウロ州では地域による経済力の差が大きく、教育レベルを均一にするのは難しい」と説明している。