ニッケイ新聞 2010年12月10日付け
ジウマ次期大統領が8日夜、次期政権の閣僚10人の名を発表したと9日付伯字紙が報じた。所属政党は、ミシェル・テメル次期副大統領が所属する連立与党の民主運動党(PMDB)5人、労働者党(PT)3人、共和党(PR)と無所属各1人だが、PMDBや他の連立与党からは、今回の組閣内容に不満の声も出ているようだ。
11月24日、12月3日に続く第3弾となる閣僚リストの中心は、3日発表の予想も出ていたPMDB選出閣僚。テメル氏推薦の2人とサルネイ上院議長推薦の3人が入閣する事で、サルネイ氏の上院議長継続はほぼ確定したようだ。
PMDB選出閣僚は、留任のヴァギネル・ロッシ農務相、鉱山動力相返り咲きのエジソン・ロボン上議と、社会保障相ガリバウディ・アウヴェス上議、観光相ペドロ・ノヴァイス下議並びに戦略局長官モレイラ・フランコ元リオ州知事の5人。ルーラ大統領の推薦で留任内定のネウソン・ジョビン国防相も含めれば、現状より1人多い6閣僚となる。
だが、予算額こそ現閣僚統括の5省庁分(1060億レアル)を大幅に上回る2900億レアルを掌握する事になるものの、戦略局のように独自の予算を持たない部署や、社会保障省のように固定支出の割合が大きな部署があるため、自由な裁量が許される額は235億レアルから148億レアルに大きく減り、不満も出ているという。
他の閣僚は、通信相に横滑りのパウロ・ベルナルド企画相、水産相イデリ・サウヴァッチ上議、人権局長官マリア・ド・ロザリオ下議の3人がPT。運輸相返り咲きのアウフレッド・ナシメント上議はPR、社会通信局長官に選ばれたエレナ・シャーガス氏は無所属のジャーナリストだ。
今回の発表では女性が3人選ばれているが、女性の積極的起用はジウマ次期大統領の希望。先に発表された新企画相のミリアン・ベルキオル氏を含め、4人の女性起用が確定した事になる。
また、サウヴァッチ上議とロザリオ下議がサンタ・カタリーナ州と南大河州選出である事で、新閣僚はサンパウロ州ばかり(発表済みの16人中5人、内定者に3人)との批判は多少和らぐと見られる。
ただ、16閣僚がPTとPMDBに集中し、PRからの閣僚も含まれている事に不満表明は社会党(PSB)で、ジウマ氏は、セアラ選出のアントニオ・カルロス・ヴァラダレス上議を新設する零細・小規模企業相にと交渉中。成立すればジョゼ・エドゥアルド・ヅットラPT党首の上院繰り上げ当選も実現する。