サンパウロ市=同性愛者にまた暴行事件=公共の場で嫌がらせ多発=ネット上でも悪質な発言増加
ニッケイ新聞 2010年12月10日付け
「おい、くっつくな。離れろよ」―ゲイのカップルは突然そう叫ばれ、青年ら6人に襲われた。4日早朝、サンパウロ市パウリスタ大通りでまたもやゲイを狙った暴力事件が発生。殴る、蹴るの暴行を受けたロブソン・オリベイラ・デ・リマさん(28)は歯を折られ、意識不明の状態で病院に運ばれた。先月14日に青少年5人が現場周辺で4人に暴行した事件に続き、偏見が引き起こす同性愛者への暴力、嫌がらせが大きな問題となっている。6~8日付エスタード紙が取り上げた。
同性愛者に対する差別撲滅センター(Cads)では、2006~09年に寄せられた316件の報告を元に、同種の被害の実態を調査。同センターに報告された50件の暴力事件は、2%が職場、20%が自宅、78%が公共の場所で発生している。他の248件は暴力を伴わない嫌がらせで、20%が家庭内、58%が公共の場所で起こっていた。
また、加害者とは面識がないという事件が大半の46%だが、その他の事件では、加害者は知人が38%、身内が16%という事実も明らかとされた。被害者の過半数は、25~39歳。
同時に、インターネット上で同性愛者を罵倒するサイトやコミュニティへのアクセスが増えている。ネットのサイトを監視する非営利団体SaferNetによれば、ネット上での同性愛者への暴言や不満は、今年1~9月に昨年同期比で88%増の4983件見つかった。人種差別や外国人差別に関する内容が昨年よりも減少しているのに対し、新たな動きと見られている。
特に、こういった高まりが見られるのが、ブラジルで人気のコミュニティ・サイトOrkut。同サイト上では「オカマ嫌い」「ゲイ嫌い」などのグループに参加する人が増えており、「オカマを殺せ」といった悪質なグループでは、どこでどのように同性愛者を殺害するかなどが会話の中心になっているという。
Cadsによれば、同性愛者を狙った事件の発生率はセントロが高く、4日の事件発生後、軍警は同地域の警備を強化。サンパウロ市でも対応策を吟味しており、セー区の学校や病院では、来年から同性愛者を受け入れるための意識向上運動を推進する予定だ。
現在、同性愛者への偏見を伴う不快な行為は法的には犯罪とされておらず、それを犯罪と規定する法案が上程されているようだ。事件に巻き込まれ「殺されるところだった」と話すリマさんは、「もう堂々と手をつないでは歩けない」と、憤りを示している。