ニッケイ新聞 2010年12月10日付け
朝6時頃、物音で目覚めたらベッドから空が見えた―。衝撃の体験を語るエリスヴァウド・V・セルケイラ氏のいたサンパウロ市東部ジャルジン・マリンガでは8日午後、地滑りに伴う家屋崩壊が起きて20軒が全半壊、他の家屋にも退避命令が出たと9日付伯字紙が報じた。
20年位前から不法侵入や不法建築が始まり、高低差のある2つの道路に囲まれた区画は市の所有地だが、家屋税徴収もされず、市街化計画からも除外されていた。
現場周辺では水道管破損による漏水が2週間ほど続いていた後で、壁のひびや倒壊に驚いた住民は朝一で防災局に通報。
昼前に現場に到着した防災局員は、一見しただけで地滑りの危険を察知し、住民達に退去命令。着の身着のまま子連れで逃げた人や書類や家財道具の一部を運び出せたなどの差こそあれ、住民退避の直後、上手の家から壁の沈下や傾きが進み、ドミノ倒し状に崩壊が始まったという。
同地区のように、市当局の管理は行き届いていないが、不法侵入後に建築した家には電気や水道もあるという所は、地滑りや土砂崩れ、洪水などの発生し易い危険地域に数えられる事が多い。
今回の事故では人的被害は出てないものの、雨の季節到来で事故再発の可能性が高いと見た当局は周辺家屋も立ち入り禁止とし監察中。夏本番を前に、危険地域の防災対策や、デング熱を媒介する蚊のボウフラ発生予防処置は不可避の急務だ。
一方、保健省は6日、全国でデング熱流行の危険のある市は15から24に増えたと警告。8日には、外国旅行から帰国したサンパウロ州とリオ州在住者3人が蚊の媒介するチクングンヤ熱に罹患していた事が判明し、予防強化との報告もなされた。