ニッケイ新聞 2010年12月11日付け
なぜかその日、点滴用の棚に置かれていた―。それだけの手違いで12歳少女は命を落とした。誤って少女の点滴にワセリンを注入してしまった看護補助者のアラガキ・カチアさん(26)は、弁護士にしっかりと手を握られて警察署に姿を現した。
ワセリンの瓶が置き違えられていた事に加え、その瓶は処方すべきだった薬品瓶とそっくりなものだった。ラベルを確認し損なった彼女のミスが招いた悲劇だが、病院の薬品管理の悪さをも露呈する事故となった。
アラガキさんは、3時間にわたる供述中ずっと涙を落としていた。事故のショックのあまり、その間も2度の目まいを起こしたという。過失致死の容疑がかけられている。
単なる腹痛で診療にかかり命を失った少女の死は悔やみきれないが、病院の管理体制が問われる中、意図せず大惨事を起こしてしまった彼女に同情も募る。(裕)