ニッケイ新聞 2010年12月11日付け
民主党が政権の座に着いてから1年と少し。颯爽と登場した鳩山宇宙内閣は、対米関係を目茶苦茶にし、普天間の大チョンボで収拾困難になり、あっさりと退陣。菅氏が引き継いだけれども、これもまた人気は低迷し苦しい。支持率は23%かになり、これはもう危険水準だし、あの小沢一郎元代表は新人の若い議員らに「解散も近い」とぶち上げる▼こんな艱難辛苦でも、市民運動家から政界入りの菅直人さんは強い。いや―粘り強い。目下の喫緊の一大事は、衆院で再可決に必要な衆議の3分の2を獲得すること。これだけの数があれば、参院の「ねじれ」があっても、参院で否決されたものを衆院で再可決し、法案はすんなりと可決―政権と与党は拍手万歳となるのだが、これが中々に難しい▼難問はもう一つ。菅首相は、反菅派の巨頭・小沢斬りに乗り出したので党内、いや政界は魑魅魍魎が現れたのごとく大騒ぎ。なにしろ「離党勧告」もの構えなのだから、小沢陣営も黙って見過ごすわけにもゆくまい。確かに「政治とカネ」は、あくまでも透明さが大切ながら、これが政治がらみになると、正解を得るのが難しくなるのも、これまでの政治の常道だし、あの犬飼健法相の造船疑獄における指揮権発動が典型である▼と、脇道に逸れたけれども、もし民主執行部が「小沢処分」に踏み切れば、小沢氏らの集団離党も視野に入れねばなるまい。となれば―民主党は事実上の分裂となり、もう再可決への人数集めどころではない。永田町は大混迷に陥り、あるいは政界再編も。いや、自民と小沢派の大連合が成立するかも―と、さてどうなることやら。(遯)