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障害者が空港内で事故=求められる適切な配慮や設備=77%が公共の場で不満抱く

ニッケイ新聞 2010年12月16日付け

 14日付フォーリャ紙によれば、11日、サンパウロ市コンゴーニャス空港でブラジリアから到着した車椅子のフェルナンド・ポルト・デ・ヴァスコンセロさん(71)が、移動用のリフト車で離陸場所からターミナルまで移動する途中、急ブレーキの衝撃で転んで頭蓋骨を損傷する事故が起こった。
 リフト車に同乗した空港職員が急ブレーキの衝撃で車椅子を倒し、椅子から放り出されたフェルナンドさんはリフト車の床に強く頭を打ち付けた。家族によれば、車椅子はその空港職員によって支えられていただけで、床には固定されていなかった。
 リフト車はInfraero(空港インフラ業務公社)によって提供されるもので、GOLが利用していた。Infraeroは、車椅子は金属の金具で固定されていなければならなかったとして事故の詳細を調べている。フェルナンドさんはすぐさま病院へと運ばれたが、意識不明の重体となっている。
 こういった不注意による事故が騒がれる一方、14日付エスタード紙はData Senadoが身体障害者対象に行ったアンケート調査の結果を発表。1165人に対する聞き取り調査からは、77%の人が「公共の場で十分な配慮を受けていない」と感じていることが分かった。
 特に、移動の大きな困難となっているのは起伏や段差、舗装の傷みなどが多い道路。87%の人が自分の街に快適に利用できる歩道がないと不満を漏らした。街に適切な交通手段がないと回答したのは57%、23%は他の交通機関利用者に配慮が欠けていると実感していた。10人に4人が、移動手段がないため外出を諦めたことがあると話している。
 公共の場に適切な設備が行き届くならば、彼らの活動範囲はもっと広がる。できることならスポーツを楽しみたいと考える身体障害者は64%で視覚障害者は51%、劇を鑑賞したいと望む聴覚障害者は23%いた。
 障害者権利研究院(IBDD)の専門家は「バスに乗るにも傾斜台がないため担がれなければならない、こういった状況がすでに障害者たちに不快感を与えている」と説明し、「一般の多くの人はその事にすら気が付いていない」と訴える。
 障害者の苦境は職場環境でも多く、4割以上の障害者が差別を感じている。物流関係の会社に就職を希望したヴァレリア・デ・アウメイダ・フラガさん(28)は病気で片足を失った。電話面接で合格し、事務所での面接に向かったところ、「障害者枠はすでに埋まっている」という理由で断られたという。