ニッケイ新聞 2010年12月17日付け
あと2週間で任期を終えるルーラ大統領が15日、閣僚や閣僚経験者、全国の知事、組合関係者ら約800人を招き、2期8年の決算報告を行ったと16日付伯字紙が報じた。バイア州知事からは、8年で80年分の仕事をしたと賞賛された現政権は、大統領と政府に対する支持率の記録を更新した上で幕を閉じようとしている。
現政権の決算報告会は約800人の参加を得て行われ、閣僚や閣僚経験者らへの謝辞や、2016年のブラジルの国内総生産は世界5位になると、ジウマ次期大統領らを鼓舞する発言が繰返された。
大統領と閣僚37人が署名したルーラ政権の2期8年の総括は6巻2200頁の大冊にまとめられ、登記所にも登録されたが、元労働相で現バイア州知事のジャッケス・ヴァギネル氏は、「自己政権の実績を登記した大統領は初めて」で、現政権下の工業化や経済発展の速さは、ブラジリア建設を果たしたジュセリーノ・クビチェッキ大統領の「50年の進歩を5年で」に勝るとも劣らず、「8年で80年分の進歩を遂げた」と讃えた。
報告書は、経済面では所得向上や雇用創出、公的負債減少、クレジット増大のように、分野毎にまとめられている。
「従来なかった政策導入」強調の報告書には、基礎教育への投資拡大や高等教育機関新設、奨学金としてのProuni創設(教育)、1200都市に設置したSamuで1億6千万人に恩恵、03年は1万2千件だった臓器移植が09年は2万件に(保健)、住宅政策「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダ」や経済活性化計画(PAC)の導入(インフラ)、国際的な存在感や施政の透明度を増し、汚職防止策導入などの項目列挙。その一方、現実の高校生数は減少中で国際的な学力は依然低い、ベロ・モンテ発電所や高速鉄道建設を実施事項の如く扱うなどの事実との食違いや、8年で最大の汚職事件であるメンサロン、電気普及計画や環境問題への取組みの遅れについての言及がないなどの不備も指摘されている。
また、今後の展望として、2000年は世界12位だった国内総生産額が09年は8位に向上しており、年4・5~5%の成長を保てば、16年には世界5位の経済大国になるとの見通しを示した上、実現はジウマ次期大統領やギド・マンテガ財相らの肩にかかっていると次期政権を応援。
16日付サイトによれば、Ibope調査によるルーラ大統領と政府に対する支持率は87%と80%。ルーラ大統領に信頼するの81%も含む新記録達成で任期を終えようとしている。