全伯で盗難の実態調査=国民半数が街の治安懸念=6割の住居で防犯策講じる
ニッケイ新聞 2010年12月18日付け
クリスマスが近づくと盗難も増加する。ブラジル地理統計院(IBGE)が昨年行った盗難被害実態調査によると、10歳以上の人口の47・2%にあたる7700万人が、自分の住む街を歩くのに危険を感じていると回答した。盗難被害は20年間で37%拡大しており、防止対策への関心が高まっている。16日付伯字紙が発表した。
1988年から09年にかけ、10歳以上で盗難被害にあったことがある人は5・4%から7・4%に増加。盗難では空き巣が47・6%、路上や駐車場、交通機関での被害がそれぞれ26・8%、12・2%、4・4%。脅迫や暴行を受ける強盗事件は、路上で発生が70・5%、自宅が12・2%だった。
1988年には現金、宝石・時計類の盗難が多かったが、現在では携帯電話、カード類が主な盗難品となっている。こういった盗難の被害は16~24歳の層に多く、この層の人口8・9%の人が経験している。
こういった状況下、昨年度のIBGE調査で初めて行われたのが、行動範囲を踏まえた危険意識度の調査。自分が住んでいる地区で危険を感じるという人は32・9%、自宅に居ても安心できないと回答した人が21・4%に上った。こういった数字が全体的に高かったのが北部で、南部はそれに比べて低い割合となった。州別にみて自分の街の安全が気がかりと答えた人が多かったのはパラー州、リオ州、連邦直轄区で、サンパウロ州は10位だった。裕福な層になるほど、自宅に居るよりも外出中に危険を感じる人が多くなっていた。
こういった危険意識の高さに伴い、住居で防犯対策を講じている家庭がほとんど。約6割の住居で何らかの設備を備えている。特に多いのは、3分の1の住居に見られるドア、窓にはめられた格子。有刺鉄線、電気柵も多用されるほか、安全対策が万全な集合住宅では防犯カメラを設置、一軒家などで番犬を飼っている家庭も1割だった。
一方、盗難被害にあっても警察を頼らない人が大半である点も注目される。08年9月から09年9月に盗難被害に合った600万人のうち、警察に出向いた人は51・6%。警察に行かない理由として一番多いのは「警察が信用できない」で、そのほかは「必要だと思わない」「証拠がない」となっている。
13カ月給が出て金回りが良くなる年末年始は狙われやすく、旅行で留守にするときや買い物に出かけるときも従来以上の警戒が必要だ。