ニッケイ新聞 2010年12月22日付け
20日午後、次期政権の閣僚7人の名が新たに発表されたと21日付伯字紙が報じた。11月24日の経済関係閣僚発表以来、6度目の閣僚名公表だが、ルーラ大統領の要請で大統領選出馬を断念した社会党(PSB)のシロ・ゴメス氏は入閣見送りとなる可能性も出てきたようだ。
11月の経済関係閣僚3人の後、12月3、8、15、16日と続いた閣僚発表で名前が挙がっていたのは23人。今回の7人を加えて30人が公表された事になるが、20日までに全閣僚名発表の予定だった組閣作業は、思いのほか難航しているようだ。
今回発表の閣僚中、最も注目されているのは、文化相に選ばれた、作曲家のシコ・ブアルケ氏の妹、歌手で女優のアナ・ブアルケ・デ・オランダ氏(無所属)。女性を積極的に採用したいとしていたジウマ・ロウセフ次期大統領の要請に応えた同氏の入閣は、関係者からも好意的に受け止められているようだ。
シコ・ブアルケの妹と呼ばれ、兄と比較される事を怖れる一方、兄やノエウ・ローザ、パウロ・セーザル・ピニェイロ、ジウベルト・ジルらの歌も良く歌った繊細な声は舞台でも注目を集め、女優としても活躍。09年録音の最新アルバム「So na Cancao」には自作の14曲を収録という作曲家でもある。
現職のジュカ・フェレイラ氏留任の可能性も含め、担当相指名の結果を見守っていた文化省関係者らは、新興の芸術・文化にも通じ、派閥争いには縁遠い人物抜擢に好意的な反応。ジュカ氏支持層からも受け入れられる人選だったようだ。
また、シロ・ゴメス氏がこだわりを見せた保健相に医師のアレシャンドレ・パディーリャ国家政策調整局長官、生活扶助などを統括する社会開発相に経済学者テレーザ・カンペロ氏、人種平等政策局長に社会学者のルイザ・バイロス氏、自治相にマリオ・ネグロモンテ下議を起用。連邦総弁護庁長官のルイス・イナシオ・アダムス氏とスポーツ相のオルランド・シウヴァ氏は留任となる。
社会党に割り当てられた人種統合相への再任を嫌い、保健相を希望していたシロ・ゴメス氏入閣はパディーリャ氏起用で白紙状態に戻ったが、弟のシディ・ゴメス・セアラ州知事は入閣の可能性はないだろうと発言。
一方、ルーラ大統領が最高裁判事にと考えていたアダムス総弁護庁長官が、ジウマ氏の依頼を受けて留任した事で、最高裁判事の選任は次期政権に持ち越された。
発表済みの閣僚の所属は、労働者党13、民主運動党6、共和党、進歩党、ブラジル労働党、ブラジル共産党各1、無所属7となっている。