ニッケイ新聞 2010年12月23日付け
リオ州南部のドゥケ・デ・カシアス市会議員や警官、軍人らからなるグループが、リオ市最大の犯罪組織コマンド・ベルメーリョが統括していたコンプレクソ・ド・アレモン区に数年間にわたって武器を供給していた事実が明るみに出た。盗聴など、6カ月の捜査で得られた証拠から、21日、グループのメンバー25人が逮捕された。22日付伯字紙が報じた。
グループを指揮していたのは、ドゥケ・デ・カイシャ市議会のジョナス・ゴンサウヴェス・ダ・シウヴァ市議(PPS=社会人民党)、セバスチオン・フェレイラ・ダ・シウヴァ(PTB=ブラジル労働党)市議。さらに、ジョナス市議の息子の元軍警や軍警のサムエウ・フェリペ・ダンタス・デ・ファリアス中佐が中心人物として組織を取りまとめていた。
捜査では、軍警13人に市警幹部、陸軍幹部、海軍兵士2人、一般市民14人を含む大規模な汚職の構造が浮かび上がった。計34人の拘留命令が出され、21日は市議2人を含めた25人が逮捕された。軍警3人、市警らが逃亡している。
「ファミリア・エ・ノス」として知られるそのグループは、2007年からアレモン区の麻薬密売組織に武器を販売していたほか、ドゥケ・デ・カシアス市付近ではガスの販売を独占し、不法に入手したケーブルテレビやインターネット回線も販売。市場を握っていたグループは、小売店を脅迫し、営業の継続を許可する代わりに金を徴収していた。これらの活動の中で、50人以上の殺害が行われていた事も発覚している。
こういった犯罪組織が銃器を手に入れる闇のルートは、後が尽きない。都市犯罪に関する下院の調査委員会(CPI)調査では、他国から流入する武器や麻薬の入り口となる17市の名が挙げられる一方、州や市の犯罪撲滅を援助する政府の国家市民安全プログラム(Pronasci)適用されているのは、そのうちのたった2市である事が分かった。
17市に挙がったのはボリビア、パラグアイ、ウルグアイなどとの国境に面するマット・グロッソ、南マット・グロッソ、パラナ、リオ・グランデ・ド・スル州などの小さな街。こういった地域から流入した武器、麻薬がリオやサンパウロの犯罪組織へと流れ着く。専門家によれば、それらの街では、地域の貧しさが住民の密輸への関与を助長しているという。