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ルーラ大統領=「私はいつも庶民の中に」=エリートによる政治脱却=ナタルや竣工式と多忙な最後=副大統領の回復祈願求める

ニッケイ新聞 2010年12月25日付け

 ルーラ大統領が23日、大統領として最後のテレビ放送で8年間を振り返り、「私はいつも庶民の中で生きてきた。これからも、命の終るその日までかくありたい」と述べたと24日付伯字紙が報じた。サンパウロ市でのナタル(クリスマス)行事や南北鉄道竣工式参加と退任直前まで多忙な大統領は、ジウマ・ロウセフ次期大統領への支援とジョゼ・アレンカール副大統領の回復祈願も求めた。

 今月末で退任するルーラ大統領は、23日夜のテレビ放送で、「政権評価が高いのは、僅か3分の1のエリートが握っていた政治を庶民の手に取り戻したから」として、8年間の実績を総括。
 労働階級出身者として、自分はいつも庶民の側にいると強調した大統領は、軍事政権以後最も高い83%の支持率を得てその座を降りるが、19日付フォーリャ紙は、この高支持率は雇用創出や所得向上、富の分配といった現政権の実績を反映したものだと説明。
 放送でも、最低賃金は実質67%向上し融資額も国内総生産の48%に拡大、「全戸に電気を」のキャンペーンは260万人に恩恵をもたらしたなど、数々の数字を上げた大統領。外貨準備は何十億ドルにも拡大し、8%という前代未聞の経済成長や1500万人の正式雇用創出達成とその業績を誇った。
 一方、最賃向上率はジウマ氏が選挙戦中に掲げた74%という数字と食い違う上、03~10年の最賃は実質53・5%しか向上しておらず、4年で倍にとの02年の選挙公約も実現してないと24日付フォーリャ紙。
 同紙は、8年で14の大学設立の部分も、新設は5つのみで残りは拡張や合併、分割。貧困層減少も過去最大の部分も、応用経済研究院に1970年代に貧困層が68・3%から35・3%に減少との記録があり、03年に55%だったD、Eクラスが09年は39%に縮小とのジェツリオ・ヴァルガス財団資料から見て誇張と指摘。
 実績を少しでも良く見せたいのは政治家の常だが、23日の南北鉄道の竣工式も、実際には工事が終っていない部分がある事を現場の担当者も認めており、最後まで、との感は拭えない。
 それでも、国民にとって身近な大統領であり貧困層をねんごろに扱った事を示すのは、ジウマ氏も同伴で参加したサンパウロ市でのゴミ回収者のクリスマス。ゴミ回収を一つの職業として扱ってもらえるようになり、最低の環境から抜け出せたとの謝辞に感涙の大統領は、次期大統領への支援と腹部内出血で手術後の副大統領の回復祈願を求めた後、呼んでくれれば来年も来ると約束した。