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新聞社に望むこと=愛読者に要望聞く

特集 2010年新年号

ニッケイ新聞 2011年1月1日付け

 年々経営が厳しくなる邦字紙だが、編集部では少しでも楽しんでもらえる紙面作りを目指し、日々試行錯誤を繰り返している。今以上に紙面を良くするアイデア、提案を聞いてみた。これ以外にも具体的な要望があれば、ぜひ編集部まで手紙などでお知らせを。

もっと身近な新聞に=佐々木大介(73、埼玉)、テル子(65、宮城)夫妻

 夫婦そろって心待ちにしているお気に入りのページは、週1回、読者からの声が掲載される投稿欄「ぷらっさ」だ。
 「毎週土曜日、『ぷらっさ』欄をまず始めに読みます。投稿を書く人の人生感、体験談を面白おかしく書いているので、こっち(ブラジル)に住んでいるもの同士で共感できるところがとても良い、ためになることがたくさん書いてある」とを揃える。
 そして「日本のニュースなんかはNHKを見ているからもう知っていることが多い。それに日本の記事は我々の生活に関係ないから、関心のないものもずいぶん多い」と話す。
 それよりも、「かしこまらない形でもっと読者の声が出て、コロニアについてたくさんの情報の掲載があるともっといい。ブラジルにある新聞なのだから、私たちにとってさらに身近な存在の新聞となってほしい」と夫婦で話した。

ブラジルの良いニュースも=北川和義さん(62、長崎)

 「身近なニュースを増やしてほしい。日系社会の娯楽以外の話題、日系人経営の企業、経済のことなどの記事が少ない気がする。また、最近の日本企業の進出も、その理由をブラジル経済の状況を踏まえて解説、紹介する内容があれば」と提案する。
 日本のニュースよりも、直接生活に関係のある当地の話題に関心が強い。だから「暗い話題だけでなく、ブラジル社会にある些細な良いニュースも書いてほしい」と続ける。
 「最近、ドイツの外交官が多額の現金、所持品を無くしてしまい、困っていたところ善意の届出があり、無事に手元に戻ってきたという話題があった。その外交官にとっては、泥棒が当たり前というブラジルのイメージを変えるようなことで、それはドイツ国内でも小さいながらも影響のあることだと思う。そんな心温まる話題も紙面にほんの少しでも載せてもらえれば」と語った。
 ブラジルといえば悪いニュースと紋切り型になりがちなところだが、変わった話、良い話などいろいろな話題が埋もれていると薦める。

生活、法律の掲載も=堀見憲生さん(79、高知)

 「やはりお年寄りたちの関心は精神、健康についてのアドバイスなどの記事。短くていいので、NHK番組でもそれに関連したものがあれば紹介、その内容解説などもできればしてほしい」
 その他、ニュースだけでなく、生活にかかわる情報がほしいという堀見さん。
 「趣味は魚釣り。釣り場の案内、そこで何が釣れるのか知りたい。また、クラブなどでなく家族連れで気軽に行ける近郊の娯楽施設の紹介などがあれば、多いに活用できる」。
 その他にも、ブラジルの複雑な法律について。「財産相続などは、子の喧嘩にもなってしまい心配する人も多い。法律などを易しく解説する記事があれば関心も高いのでは」と述べる。

もっと切り込んだ内容を=太田信子(58、愛知)

 「最近いいことしか書いていない記事が多いと思う。地方では日系人が被害に遭う事件も起きている。注意の喚起のためにも、そんな記事を出してほしい。もっといろんな事が日系社会で起こっているはず」と記事に偏りを感じるという太田さん。
 「イベント物の記事でも、ただやりましたではなく、その裏まで切り込んでほしい。ある人物の経験談など、勉強になる記事にしてほしい」と踏み込んだ内容をめる。
 また、購読者の確保、日本語普及のため、「伯字紙なども行っている子ども新聞などの発行をし、子どもに関心を持たせることができたらいいのでは。日本語教育の一助にもなると思う」と将来の読者を作る取り組みを薦めた。

新聞が文化伝える媒体に=向井聖治(78、広島)

 「二世、三世である自分らの子や孫は日本語新聞は読まない。しかし、記事中の日本で起きた事、文化、精神などで、教えてやりたいことは山ほどある」と向井さんは熱を込めて話す。
 「日本のことがわかるもの、簡単な生活、文化なんでもいい。その記事にポ語の見出しだけでもつけてあれば、少しでも関心をもってくれ、その話をするきかっけにもなる。新聞が日本の文化などを伝えるきかっけとなる役割となってほしい」。

ブラジル情報の必要性増す=林宗慶(66、東京)

 茶道裏千家ブラジルセンターの代表である林さんは「ブラジルの政治や経済のニュースをもっと詳しくして、分量も多くしてほしい」と話す。林さんは本紙2面の翻訳ページや経済面のさらなる充実を求める。
 日本文化を代表する茶道。その普及とともに、ブラジル企業との付き合いも最近、着実に増えてきている。その結果、相手と話をするのに、ブラジル社会の出来事を知らないと不都合なことが多々起きてくる。
 ある航空会社は、客室乗務員の顧客サービス向上のため、時折茶道の講習会を開催しており、今やり取りも増えていく予定だという。
 「当然企業の情報は仕事に役立つし、経済が豊かになれば文化にも興味関心が増えてくる、その予兆を見逃さないためにも、注目を集め発展が期待されるブラジル経済の発展を詳しく知りたい」とその充実に期待を込める。