ニッケイ新聞 2011年1月4日付け
元旦に首都ブラジリアで盛大に実施されたブラジル史上初の女性大統領ジウマ・ロウゼフ氏の就任式に出席するために、日本国特派大使として麻生太郎元首相(自民、福岡8区、衆議、日伯議連会長)のほか、河村建夫衆議(自民、山口3区、同議連幹事長)、中井洽衆議(民主、三重県1区)、黄川田徹衆議(民主、岩手3区)の3議員が参列した。翌2日にはジウマ新大統領と会談し、高速鉄道構想などについて話し合った。その後一行はサンパウロ市を訪れ、3日に日系団体との懇談、イビラプエラ開拓先没者慰霊碑訪問、出身県人会関係者との懇談などを行った。
アジェンシア・ブラジルによれば、新大統領と麻生元首相は5年以上前から知り合っている。アントニオ・パトリオッタ新外務大臣は同国営通信に対し、2日の会談で「ジウマ大統領は日伯社会保障協定の締結までの麻生氏や日伯議連の果たした役割に謝辞をのべた」としている。
産経新聞の取材に対し、麻生元首相は新大統領の心象について、「大統領は以前から知っているが、優秀な行政官から政治家に急激に変化・成長しつつあるという印象だ。女性政治家として、後世に名を残す存在になるかもしれない」(2日付け記事)と語っている。
ジウマ新大統領は08年4月に政府代表(当時、官房長官)として東京のブラジル日本移民百周年式典に列席した。その以前、麻生元首相は07年に外務大臣として来伯、08年6月のサンパウロ市の百周年式典にも慶祝議員団代表として出席するなど、ジウマ氏と顔を会わせる機会は何度もあったようだ。その後08年9月に首相に就任した。
当日は、同じく高速鉄道構想の応札に力を入れる韓国からも金滉植首相が列席し、翌日の新大統領との会談では高速鉄道についてのトップ交渉はもちろん、メルコスルと韓国との貿易協定についての意見を交換した。
新大統領の最優先訪問先リストには中国などの名前も挙げられており、今年の日伯関係も息の抜けない競争が控えていそうだ
産経新聞の同記事中で麻生元首相は、「BRICsの中で、日本は中国に目を向けすぎているきらいがある。ブラジルは親日で、かつ資源を持っている国。日本はもっと目を向けて当然だ」と強調している。