ニッケイ新聞 2011年1月6日付け
1日の正副大統領就任式と共に正式な任命を受けた37閣僚の各省庁での就任式が2日から始まり、連立与党内の確執が表面化。大臣職に次ぐ局長クラスの人選に不満を持つ民主運動党(PMDB)が最低賃金引上げをちらつかせてポスト要求圧力を強めるなど、新政権の船出は波乱含みのものとなりそうだ。
2〜5日付伯字紙によると、12月中に選任された新政権閣僚らは各省庁の局長や下部組織総裁などの人選を行っているが、閣僚人事で不満を覚えていた連立与党が、局長クラス人事も労働者党(PT)に片寄る傾向にある事などに不満を募らせ、ジウマ政権に圧力をかけているようだ。
548億レアルの大型予算を持つ保健省担当大臣と、同省内最大規模の450億レアルの予算を動かし、全国的な活動も行う保健啓発局や国立保健財団(Funasa)の長をPTに譲る事になるなど、前政権で担当した分野での職責喪失が大きいPMDBの場合、3日に行われた保健相や省庁調整局長官の就任式を実質的にボイコット。
ミシェル・テメル副大統領の所属政党であり、最大の連立与党でもあるPMDBとの関係はその前からギクシャクしており、ジウマ・ロウセフ大統領は2日、局長クラス人事での両党間の関係調整をアントニオ・パロッシ官房長官やジョゼ・サルネイ上院議長に依頼したにも係わらず、3日の閣僚就任式ボイコットが起きた事になる。
この事態を重く見たジウマ大統領は、3日の主要閣僚との会合で局長クラス人選作業の一時停止を決定。作業再開は、上下院議長が確定し各党との話合いが正常化する2月以降となる見込みだ。
一方、人選作業中断後の4日、副大統領宅で持たれたPMDB幹部の会合では、PTから選出と内諾済みだった下院議長選に同党候補も出す意向を固めたようで、その他の連立与党も下院議長候補擁立の気配が濃厚なようだ。
また、PMDBが、局長クラス人事への圧力として、ルーラ前大統領が退任間際に決めた最賃額540レアルの引上げ要求を行う意向との報道は5日付伯字紙。野党側は600レアルまで要求の可能性もあるが、所得向上などの経済効果をもたらす一方、生活扶助や失業保険、年金等の増額を招き政府予算を直撃する最賃引上げは、緊縮財政を掲げる新政権が最も怖れる項目の一つ。ギド・マンテガ財相は4日、連邦議会が540レアルを超える最賃引上げを認めても、政府側の承認はあり得ないと宣告済みだ。