ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ルーラ氏の決断に反対デモ=STFがバチスチ問題再検討

ルーラ氏の決断に反対デモ=STFがバチスチ問題再検討

ニッケイ新聞 2011年1月6日付け

 ルーラ前大統領が12月31日、4年前にブラジルで逮捕された極左派テロリスト、セザレ・バチスチ容疑者の本国送還を拒否したことが国内外で波紋を呼んでいる。
 同容疑者は3日に即時釈放を願い出たが、イタリア政府は4日、STF(連邦最高裁判所)に少なくとも2月までの身柄拘束を要求。必要なら国際司法裁判所へ提訴と威嚇していると3〜5日付伯字紙が報じている。
 イタリアでは4日、主要都市に数百人もの人々が集まり、ルーラ氏の決断に反対するデモ。ローマでは、ブラジル大使館前のナヴォーナ広場で遺族ら始め、300人の市民が集まり抗議した。
 ベルルスコーニ・イタリア首相は4日、犠牲者の家族との会談後、この件を国際法廷に持っていく可能性があることを再確認し、「イタリア政府はバチスチの件を国際司法裁判所に持っていく意向だが、それによりイタリアとブラジルの良好な関係が損なわれることはないだろう」と述べた。
 一方、ブラジルでは4日、STFがバチスチの件を再検討することを決定。検討の結果次第で、最高裁長官がバチスチ容疑者の釈放、拘束を決断できるようになる。
 バチスチ容疑者は、1970年代にイタリア国内で起きた四つの殺人事件で起訴され、88年にに終身刑を宣告された。2004年にはブラジルへ逃亡したが、07年3月にリオ州で逮捕され、ブラジリア刑務所に移送された。以来、同容疑者は、イタリア政府の政治的追害の犠牲者であると主張している。
 09年1月には当時のタルソ・ジェンロ法相が政治犯と判断して亡命を認めたため、身柄引渡しを回避したものの、同年11月にはSTFが一般的な殺人事件犯と判断。本国送還の最終決断は、当時の大統領、ルーラ氏に任せられていた。