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大統領とエリト長官対立か=軍政下の人権侵害に迫る

ニッケイ新聞 2011年1月7日付け

 4日付伯字紙によると、GSI(大統領親衛隊)長官に就任したジョゼ・エリト・シケイラ将軍が、就任当日の3日、行方不明となった政治家達は一つの〃歴史的出来事〃であり、「我々が自慢したり恥じたりすべきことではない」と発言、真相究明委員会設立に反対の立場を表明した。
 これに対し、ジウマ大統領は4日、同長官を呼んで説明を求めた。長官は「ジャーナリストは発言を誤解しており、報道内容も真実を伝えていない」と説明したと5日付フォーリャ紙は報じている。
 真相究明委員会の設立は、1964年〜85年の軍事政権中に起きた深刻な人権侵害を検討、明確にするため、昨年5月に政府によって提案されたもので、大統領も官房長官として提案作成にかかわってきた。
 1日付フォーリャ紙によれば、ルーラ政権で実現しなかった委員会設立への第一歩は連邦議会で承認を得ることで、大統領は、軍や議会、人権活動団体やブラジル弁護士会(OAB)などの諸団体と合意を図る意向だ。
 真相究明委員会の役割は、軍政下で殺害されたり行方不明となった人物についての調査と2年以内に公式かつ確定的な報告をまとめることで、同じく3日に就任したマリア・ド・ロザリオ人権擁護局長官は設立支持の立場を明らかにしている。
 軍関係者らの中には軍政下で迫害する側であったにも拘らず、最高裁判断で賠償金受取りを認められた人物もおり、ネルソン・ジョビン国防相の留任は、自らも迫害された立場のジウマ大統領と軍関係者との間を取り持つため、ルーラ前大統領が望んだことだった。
 正確な数ははっきりしていないが、軍政下での死者は400人、行方不明者は130〜160人と推定されている。