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貧困撲滅に新たなPAC=選挙公約実現への第一歩=対象者の範疇確定これから=扶助受給者に脱出手段も

ニッケイ新聞 2011年1月8日付け

 ジウマ大統領が6日、12閣僚と会合を行い、貧困撲滅のための新たなPAC創設についての具体案の作成を命じたと7日付伯字紙が報じた。前政権での経済活性化計画(PAC)発足時、〃PACの母〃の称号を受けた現大統領にとり、PACの改訂新版は、選挙公約実現への第一歩だ。

 就任式挨拶でも「食に窮する人がいる間は休む事はない」と宣言したジウマ大統領にとり、新たなPACは、選挙公約である貧困撲滅、国民総中流化実現への具体的策でもある。昨年11月に初の検討会が持たれたという新PACの詳細は、具体的な目標などの設定後に発表される。
 財務や社会関係閣僚ら12人が集まって話し合われた新政権初のPAC名称はまだ決まっていないが、同PACを統括するテレーザ・カンペロ社会開発・飢餓対策相によると、同PAC担当特別局長官には、ルーラ政権での生活扶助(ボウサ・ファミリア)創設責任者を務めたカンピーナス大学研究員のアナ・フォンセッカ氏が選ばれた。
 新PACの具体的な目標と評価方法、実施のための特別局設置時期などの全体像は3月までにまとまる予定。カンペロ社会開発相によれば、同PACの目指すのは、生産性をもつ社会福祉サービスの拡大と社会的な恩恵の継続だという。
 フォーリャ紙では、今回創設される新PACはルーラ政権のプログラムの再包装との表現もあったが、前政権が導入したボウサ・ファミリアは、社会的恩恵や富分配の拡大計画継続の形で、新PACに組み込まれる。
 最初に明確にしなければならないのは、貧困撲滅という場合の〃貧困〃の内容。家族収入1最低賃金以下のEクラス、最賃三つ以下のDクラスも含む、家族一人当たりの収入140レアルが基準のボウサ・ファミリア受給者、それ以外の基準を設けるなどの可能性があるが、対象が確定しないと、必要とされる活動やその経費、評価方法なども決まらないからだ。
 昨年は、生活扶助を受けている事で就労、就学意欲が薄れたと指摘されるような調査報告も出ていたが、今回は、貧困層から脱出するための一助として、扶助受給者達が手に職をつけたり出来るような環境や雇用の創出を生活扶助そのものよりも重視するという。
 貧困撲滅PAC検討会議出席の閣僚は、社会開発、農地改革、教育、企画、労務、自治、財務、保健、国家統合各相と、大統領府官房、総務局各長官、社会経済開発銀行(BNDES)総裁で、運営委員会や特別局の設置にも、これらの省庁が係わる見込みだ。